2001 Fiscal Year Annual Research Report
森林資源利活用と中南米・欧州・環太平洋諸国における環境政策・木材貿易の計量的分析
Project/Area Number |
11691090
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Research Institution | Miyazaki University |
Principal Investigator |
行武 潔 宮崎大学, 農学部, 教授 (30174832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 統 統計数理研究所, 予測制御系, 教授 (00000208)
加藤 隆 森林総合研究所, 林業経営管理部, 科長
吉本 敦 統計数理研究所, 調査実験解析研究系, 助教授 (10264350)
庄司 功 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (20282329)
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Keywords | 数理モデル / 森林環境対策 / 木材貿易 / 生産・消費国 / 造林、伐採費 |
Research Abstract |
本年度は、ロシア材輸入でわが国との競合関係を増してきている中国を主体に調査を行った。その成果は以下の通りである。 中国を襲った未曾有の大洪水により1998年後半から天然林保護プログラムが開始され、国有林の伐採禁止区域の増大と伐採規制の強化が進められた。中国の木材消費量はFAOによれば2.3億m^3といわれ、5位日本の木材消費量の2倍以上あり、アメリカ、カナダに次いで第3位である。中国における植林事業は、1950年代からの国土緑化政策の一環として進めつつある「三北保安林」、「揚子江中・上流保安林」、「沿海保安林」、「農地保安林(平原林)」の4大造林事業が進められてきたが、この旺盛な木材需要を賄うにはほど遠い。この中にあって、中国を襲った未曾有の大洪水により1998年後半から天然林保護プログラムが開始され、国有林の伐採禁止区域の増大と伐採規制の強化が進められ、一層の供給不足をもたらした。これがきっかけとなり、ロシアからも木材輸入が急増した。中国におけるロシア材の輸入増大は、我が国にも少なからぬ影響を及ぼしており、特にロシア材湯入港の多い北陸の北洋材関連産業の大きなダメージを与えている。このロシア材輸入増加の影響と課題として、以下のことが上げられる。 (1)輸入急増の影響として最も大きなものは、市場価格の低下による国有林経営の財政収支の悪化。 (2)1999年1月以降、外材輸入取引権の取得に関する規制が事実上撤廃されたのを契機に、輸入量全体に占める中央や地方政府傘下の貿易関連企業(国営、省営、市営)の割合が減少し、代わって民間企業・業者(集団、合弁、個人)の割合の増大。 (3)中国側の集中的買い付けにより、東シベリアバイカル湖周辺と極東沿海州地域での森林資源の一層の劣化。 (4)違法伐採と違法輸入の増大。 また、韓国はわが国同様木材消費の大半を輸入に依存している。近年利用可能な資源が増加してきているとはいえ、わが国向様木材生産費は高く、造林費が、伐採費はそれぞれ80万円/ha、7,400円/m3とわが国ほどではないが、造林費が10〜40万/haの他の国に比較するとやはり高く、わが国同様自給率を高めるのは容易ではない状態にある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 行武 潔, 吉本 敦: "国産材供給における木材生産の費用分析"森林計画誌. 35(2). 75-80 (2001)
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[Publications] 加藤 隆: "オーストリア-ヨーロッパ中央部の加工拠点-"グリーン・パワー. 4. 34-35 (2001)
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[Publications] 加藤 隆: "オーストリアの林業・林産業-強まる輸出志向-"林経協月報. 484. 12-19 (2002)
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[Publications] A.Yoshimoto, K.Yukutake: "Japanese Forest Sector Modeling Through a Partial Equilibrium Market Model"Journal of Forestry Research. (in press). (2002)
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[Publications] 行武 潔, 吉本 敦, 梶川 悟史: "我が国における地域別木材需給構造の計量経済分析"森林資源管理と数理モデル-21世紀ニューミレニアムに向けて-. 155-174 (2002)
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[Publications] 加藤 隆: "オーストリアの森林・林業-強まる輸出志向-"林経協月報. 484. 12-19 (2002)