Research Abstract |
本年度では,1)各地の選挙実施細則を収集,規定制度面からの分析を行うと共に,2)中国側カウンターパート諸機関との研究調整を進めた。具体的には,延べ6回の対中派遣を通じ,中国農業大学,農民問題研究所,党中央編訳局・中国比較政治研究,上海社会科学院・社会学研究所,安徽省社会科学院,華南農業大学等の在外研究協力者との研究交流により,村長選挙の具体的プロセスの検討のほか,村民代表(および村民代表会議),村党支部書記ら党幹部との権力関係の分析の重要性および郷鎮党・政府との事務権限の分掌関係分折の緊要性を明らかとすることができた。本邦内においては,月例研究会(「中国基層自治研究会」)を開催し,文献調査,現地調査の結果等を集団的に討議,検討したほか,外部講師招聘の下,本研究に関するアプローチ,方法論の精緻化,国際比較作業を行った。 とりわけ,上記中国比較政治研究センターと共同で実施した厦門市・后浦村のパイロット調査および安徽省来安県・岳西県調査により,村民自治を"統治(government)"から"治理(governance)"ヘの変遷過程として捉えようとする視点を導入,農村基層社会におけるガヴァナンスとして,これを把握,村民自治の基本構成要素として,直接選拳,村民監督,村務公開,村規民約,自我管理を考察した上で,その外部メカニズム(経済,政治,法律,文化環境)および内的運行メカニズム(村民委員会の形成,管理,村幹部への村民による監督,村民代表会議,村民小組の機能等〉を検討,最終的に后浦村ケースをマクロ中国情況に適用する際の諸問題(農村政治構造,政治過程,治理主体,政府との関係等)を討究した。
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