2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11691098
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
広瀬 崇子 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (20119431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 貴子 大東文化大学, 国際関係学部, 助教授 (10307142)
井上 恭子 日本貿易振興会, アジア経済研究所・動向分析部, 主任調査研究員
長崎 暢子 龍谷大学, 国際文化学部, 教授 (70012979)
吉田 修 広島大学, 法学部, 教授 (60231693)
近藤 則夫 日本貿易振興会, アジア経済研究所・地域研究部, 研究員
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Keywords | 国民国家 / 地方分権 / 地域協力 / 国民統合 / 分離独立 / 国家主権 / コミュナリズム / 南アジア |
Research Abstract |
3年間の研究を通して、以下のことが明らかとなり、また今後の課題として残された。 1.南アジアにおける「国民国家」形成は、印パ分離独立によって大きなハンディを背負って出発したが、パキスタンの方がより大きな不利益をこうむり、それがその後の長期にわたる軍事政権をもたらす一要因となった。 2.インドの国家形成(state-building)は植民地時代の制度の多くを引き継ぎ中央集権的な色彩の強いものとして出発したが、時間の経過とともに地方勢力などの要求に譲歩する形で着実に地方分権化が進んでいる。90年代後半以降発展している連立政権もその姿を反映している。99年総選挙の分析はそのことを証明した。 3.一方ネルー型の近代市民国家建設の試みは大衆を疎外させることになり、その結果国民統合(nation-building)はさまざまな問題に直面した。ヒンドゥー・ナショナリズムはその一つの反動であるが、90年代末以降は少なくとも政党レベルではそれすらも押さえて全インド規模の強力なナショナリズムを鼓舞する方向に転じた。しかしそこにも、不自然さが目立つ。パキスタンにおける宗教勢力の台頭は基本的には建国理念の矛盾と政治の貧困が大きな要因である。9.11事件以降パキスタンのターリバーン化には歯止めがかかったが、経済、社会、政治面での発展がない限り、根本問題の解決はむずかしい。 4.メディアやITの発達それに経済自由化政策の推進は、国境を越えるモノや情報の流れを促進し、それが「国民国家」にも少なからぬ影響を及ぼしている。しかしこれは必ずしもナショナリズムを押さえるグローバリズムの方向に一直線に進むわけではない。 5.印パ関係を見ると、「国民国家」建設の矛盾が投影されている。核実験もその一つである。90年代後半は両国の敵対関係が前面に出た時期であった。この情勢を受けて、研究の方も、当初めざしていた国家間レベルにおける「国民国家」の相対化の側面が十分にフォローできなかった。反省点であると同時に今後の課題である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 広瀬 崇子: "序章 南アジアにおける「国民国家」と国際関係"国際政治. 127号. 1-11 (2001)
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[Publications] 長崎 暢子: "脱植民地化と南アジアの国家形成"国際政治. 127号. 65-78 (2001)
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[Publications] 井上 恭子: "ヒマラヤン・リージョンにおける国家関係"国際政治. 127号. 95-110 (2001)
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[Publications] 近藤 則夫: "インドの民主主義体制における選挙と政党システム"国際政治. 127号. 132-152 (2001)
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[Publications] 吉田 修: "インディラ・ガンディー政権の自立化戦略と印ソ緊密化の背景"国際政治. 127号. 33-49 (2001)
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[Publications] 井上 貴子: "よみがえる「愛国主義」"国際政治. 127号. 169-184 (2001)
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[Publications] 広瀬 崇子(編著): "10億人の民主主義"御茶ノ水書房. 400 (2001)