2000 Fiscal Year Annual Research Report
南シナ海のサンゴ骨格に記録された過去300年間の気候変化とモンスーン変動
Project/Area Number |
11691114
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Research Institution | HOKKAIDO UNVERSITY |
Principal Investigator |
大場 忠道 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60013588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 雅史 高知大学, 海洋コア研究センター, 助教授 (50261350)
豊田 和弘 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (10207649)
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Keywords | サンゴ骨格 / 海南島 / 酸素同位体比 / 炭素同位体比 / 東アジアモンスーン / Mg / Ca比 / Sr / Ca比 |
Research Abstract |
東アジアの過去のモンスーン変動を復元する目的のために、1999年8月と10月、2000年の11月に南シナ海の北西部に位置する中国海南島の東海岸のサンゴ礁へ調査に出掛け、2000年11月には長さ2.3mのサンゴボーリングコアを採取した。また、その場所の水温と塩分を1年間にわたって自記記録する装置を設置した。このように得られたサンゴ骨格(CaCO3)の酸素・炭素同位体比を同位体比質量分析計(Finnigan MAT 251)を使って詳細に測定し、同時にICP発光分光分析計を使ってMg/CaやSr/Caを測定した。その結果、次のような結論が得られた。 1.過去1年間のサンゴ骨格部分の酸素・炭素同位体比を2日間隔というこれまでに報告されたことのない高分解能で測定し、その結果を実測水温や実測塩分と比較したところ、サンゴ骨格の酸素同位体比ピークが形成された日時を特定することができた。 2.同様にサンゴ骨格の炭素同位体比の最大と最小のピークが形成されたのは、それぞれ海水の透明度が良く共生藻類の光合成が盛んな春と、濁度が最も増加した秋であることが判明した。 3.過去10年間についてのサンゴ骨格の酸素・炭素同位体比にも、過去1年間と同様の変化が認められた。 4.過去10年間のサンゴ骨格のMg/CaやSr/Caには、それぞれ周期的な変動が認められ、それぞれ過去の水温を反映している可能性が高い。 現在、さらに古い時代(40年前)まで溯ってサンゴ骨格の酸素・炭素同位体比を測定中であり、その結果をサンゴ採取地近郊の気象データと比較する予定である。その後も、過去200年間のアジアモンスーン強度変化の復元を目指して本研究を継続する積もりである。
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