Research Abstract |
昨年度キューバの白亜紀/第三紀境界層の野外調査によって採取された岩石サンプルの分析を行うと共に、その結果を基に、再びキューバにおいて詳細な野外調査を実施した.調査は,2000年11月27日から12月13日の約2週間に渡り,日本側から7名,キューバ側から3名の計10名が参加して行われた.調査地域は,キューバ西部のモンカダとソロア,およびキューバ中西部のハバナ,マタンザス,サンタイザベルの各地域である.モンカダにおいては,昨年度の調査によって,層厚約2mの石灰質砂質岩層が発見された.その最上部には厚さ数cmの茶色い粘土層が存在するが,昨年度採取した試料の分析によって,この粘土層にイリジウムの異常濃集が確認された.今年度は,エンジンソーを使ってモンカダ層の完全連続サンプリングを行った.これによって,白亜紀/第三紀境界における津波の影響(方向,強さ,回数など)が明らかになるものと考えられる.ソロアにおいては,昨年度の調査により,白亜紀/第三紀境界層と考えられる,層厚が500mを超す地層が発見された.今年度は,ルートマップの作成などのほか,衝突起源物質が含まれていると考えられる下部の、礫岩層中のマトリックスの採取を重点的に行った.ハバナにおいては,昨年度までの研究により,ペニャルベル層が津波起源であることが明らかになった.また,昨年度採取した試料を分析した結果,均質と思われた中部層において,粒度や組成の微細なゆらぎが数回存在することが分かった.今年度は,その結果もふまえて,ペニャルベル層の広域調査を行った.その結果,各調査地域において,サブユニットの層厚や,流れの影響を反映した構造,脱水構造の分布などが大きく異なることが明らかになった.今回採取された試料は,昨年度のものとあわせ,現在分析中である.キューバのK/T境界層との比較研究を行うため、ベリーズのK/T境界層の予備調査もおこなった
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