2001 Fiscal Year Annual Research Report
白亜紀末の巨大隕石衝突地点近傍域の地質調査に基づく破滅的地球環境変動の解明
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11691116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松井 孝典 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (80114643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田近 英一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70251410)
大路 樹生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (50160487)
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143366)
豊田 和弘 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (10207649)
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Keywords | 白亜紀 / 第三紀境界層 / キューバ / 津波堆積層 |
Research Abstract |
平成13年度は、本科研費による調査研究およびキューバとの国際共同研究の最終年度であるため、キューバでの今までの調査研究の総仕上げという位置づけで調査を行った。調査は2001年12月6日から19日(但し、実際は帰路のキューバからメキシコへの便の欠航の為、帰国が2日遅れた)までの約10日間にわたり、日本側5名キューバ側3名の合計8名により行われた。調査地域は、ソロア西方の新ルート、ハバナ東方のミニャス、ビクトリア鉱山(新ルート)、およびサンタイザベルである。調査の主目的は、津波の第1波の影響を示す流れや侵食の証拠探しと、津波の繰り返しを示すと考えられる、かすかな粒度、組成変動を高時間解像度で復元するための試料採取、ペニャルベル層と上位のアポロ層の境界の確認に置いた。 先ず、ソロア西方の新ルートでは、カカラヒカラ層とその下位の地層との境界を発見すると共に、そのルートではカカラヒカラ層下部の礫岩層がわずか10m程度と薄い事、礫岩層の上位の砂岩層の基底部に斜交層理が見られ、水流の影響が見られる事、などが新たに発見された。これらの結果は、ソロアにおいて層厚700m以上を持つカカラヒカラ層のうち、下部の礫岩層(250m)は、隕石衝突に伴う地震波を引き金とした海底地すべり等で形成された海底峡谷を埋め立てた谷埋め堆積物である可能性が高い事を示す。 一方、ハバナ東方のミニャスでは、前年度の微化石試料分析の結果、従来ペニャルベル層とその上位のアポロ層の境界(K/T境界)と考えられていた粘土層がアポロ層に含まれる可能性が増したため、境界付近の堀り出しを行って連続露頭化し、観察と試料採取を行った。また、ビクトリア鉱山では、差し渡し10mを超える下位のビアブランカ層の巨大同時礫を発見し、試料を採取した。また、サンタイザベルでは、下部の礫岩層を覆う中部の砂岩層基底部に発達する侵食面を観察し、流れの方向を推定すると共に、中部砂岩層から上部シルト岩層にかけての層準の連続サンプリングを行った。また、ショベルカーを用いてペニャルベル層と上位のアポロ層の境界部分の掘り出しを試みたが、風化が激しく、境界粘土層は発見できなかった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Matsui, T.: "Generation and propagation of a tsunami from the cretaceous/tertiary impact event"GSA special paper 356. (in press). (2001)
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[Publications] Tada, R.: "Complex tsunami waves suggested by the Cretaceous/Tertiary boundary deposit at Moncada section, western Cuba"GSA special paper 356. (in press). (2001)
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[Publications] Kiyokawa, S.: "K/T boundary sequence in the Cacarajicara Formation, Western Cuba : An Impact-related, high-energy, gravity-flow deposit"GSA special paper 356. (in press). (2001)
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[Publications] 後藤和久: "キューバ北西部ペニャルベル層に見られるK/T境界津波堆積層の形成機構"津波工学研究報告. 18. 45-51 (2001)