2000 Fiscal Year Annual Research Report
エルニーニョ影響下の南米潮間帯生態系の構造に関する研究
Project/Area Number |
11691131
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
渡慶次 睦範 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (30291983)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野島 哲 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (30112288)
|
Keywords | エルニーニョ / 南米太平洋岸 / 群集生態 |
Research Abstract |
1 昨年度に引き続き、共同研究者であるペルー国立サンマルコス大のロメロ氏と研究代表者(渡慶次)を中心として、ペルー中部太平洋岸の沿岸生態系の調査研究を行った。ロメロ氏は特にアンコン地域の継続調査を担当した。また、2000年12月から2001年1月(南半球の夏)にかけて、研究代表者を中心とした調査チームにより集中的な調査をおこなった。さらに、昨年と同じく2001年2月から3月にかけてロメロ氏を九大天草臨海実験所に招へいし、データ解析の作業をおこなっており、3月初旬現在、研究作業が進行中である。 2 本研究の重要な対象生物である2種の捕食性ヒトデにつき,個体群変動に関する基本的なデータがほぼ出そろい,探索的な初期解析(exploratory analysis)をおこなった。2種によって年変動および季節変動のパターンが違っていることが明らかにされた。特にH.helianthusのほうはエルニーニョの年を含めて10年にわたり密度の減少傾向を示していることがわかった。これに対し、S.striatusは増加傾向を示しており,秋から冬にかけて季節的なピークがおこることが確認された。 3.空間占有者としての二枚貝類(イガイ類)は,捕食者であるヒトデ類とは異なった変動パターンを示すことがデータの一部から覗えた。ただし、データ量が多いために未解析分があり、今後さらに整理解析が必要である。イガイ類の被度の増加は、ある程度エルニーニョ現象と関連していることが示唆された。イガイ層をハビタットとする多毛類群集に関する論文を完成させた。 4 ペルー中部地方の水温に関する長期データをアメリカ海洋大気局より入手し,海洋動物の動態解析に組み込む作業を行うことにした。また、G.grapsusの個体群動態および捕食生態に関するデータの整理を行っている。
|
-
[Publications] Tokeshi,M.& Romero,L.: "Spatial overlap and coexistence in a mussel-associated polychaete assemblage on a South-American rocky shore"PSZN Marine Ecology. 21,3/4. 247-261 (2000)