2000 Fiscal Year Annual Research Report
地球環境汚染のタイムカプセルによる汚染監視に関する研究
Project/Area Number |
11691141
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
佐竹 研一 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 総合研究官 (50101051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 欣一 群馬大学, 工学部, 教授 (30175468)
古田 直紀 中央大学, 理工学部, 教授 (90101055)
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Keywords | 環境汚染物質 / ウラニウム / 銅 / 入皮 / 汚染の歴史 |
Research Abstract |
大気中に放出されて来た環境汚染物質のうち、本年度は特にウラニウム、銅等の汚染元素に注目して、その汚染の現状、その汚染の歴史的変遷について調査を進めた。分析試料は英国各地で採取すると共に、日本では1999年原子炉燃料となるウラニウムの加工工程で臨界事故が発生し、核反応の進行に併行してウラン235による環境汚染が生じた東海村JCO東海事業所近郊樹木並びに、かつて銅の採掘精練で重大な環境汚染問題を引き起こした足尾近郊から採取したミズナラを対象として研究を進めた。採取した試料はいずれもSheffield大学Analytical Centerでプラズマ発光分光質量分析装置(ICP-MS)並びにレーザーアブレーションプラズマ発光分光分析装置(LA-ICP-MS)を用いて行なった。 東海村樹木樹皮を分析した結果は、ウラン汚染が樹皮上に残留していることを示し、昨年度事故後成長形成された樹皮を用いてその後の新たな汚染が生じていないかどうかを、また、入皮を用いて過去の汚染の歴史を検証する必要のあることを明確に示し、これについての研究計画を立てた。足尾の試料については、1877年銅鉱山が大規模な操業を始める時期から現在にいたる入皮連続試料が得られ、これを年輪と共に分析した結果、1877年以降高濃度の銅の沈着に伴う重大な汚染が進行し、その汚染は樹木だけでなく土壌も著しく汚染し、入皮ばかりでなく年輪中の銅の濃度も極めて高く、鉱山廃坑となった現在においても土壌汚染の故に、なお樹木が汚染され続けていることが明らかとなった。従ってこの汚染は、現在なお足尾地区の生態系回復が困難である一因であると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 佐竹研一: "Overview of the acid deposition problem"Global Environmental Research. 4. 1-2 (2000)
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[Publications] Bellis,D.,R.Ma,N.Bramall,C.W.McLeod,N.Chapman and K.Satake: "Airborne uranium contamination-as revealed through elemental and isotopic analysis of tree bark"Environmental Pollution. (2001)
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[Publications] Bellis,D.,C.W.McLeod and K.Satake: "The potential of elemental and isotopic analysis of tree bark for discriminating sources of airborne lead contamination in the UK"J.Environ.Monit.. (2001)
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[Publications] 佐竹研一: "Tree Bark -Tree "Bark Pockets" as Pollution Time Capsules for Historical Monitoring-"Marcel Dekker. (2001)