2001 Fiscal Year Annual Research Report
ブータンヒマラヤの生物分布帯に関する生態学的研究第3次
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11691173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大沢 雅彦 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (80092477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 将志 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (60273827)
江口 卓 高知大学, 人文学部, 教授 (30263966)
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Keywords | 標高 / 温度 / 垂直分布 / 乾湿条件 / 群落構造 / 遷移 / 焼畑耕作 / フェノロジー |
Research Abstract |
今年度はブータン現地調査を9-10月、10-11月にかけて2回行なったほか現地研究者を8月に招聘し、日本の常緑広葉樹林を共同調査して比較研究を行った。気象観測についてはこれまでの継続調査を行ない、またデータロガーのデータ回収を行ない現在データ解析中である。データとしては、1200-3120mまでと1200-2780mの2シリーズについて標高別に温度と相対湿度について1年間を通じたデータを得ることが出来た。植生に関しては季節的なシュート生長のパターンの継続調査を進めたほか、東ブータンのモンガル地方で湿潤地域の垂直分布を標高870-3560mの範囲で調べ、中央ブータンのワンディ地方では乾燥谷を含んだシリーズを1400-3300mの範囲で調べた。また、南ブータンのシェムガン地方では、この地域で広く行われている焼畑耕作地において、耕作中のところから耕作放棄後の年数が1年未満から1, 2, 4, 8, 12, 20年までと耕作の回帰年までの各ステージで調査を行ない、さらに原生的な林分を比較に加え、森林の再生過程について調査した。垂直分布、焼畑耕作地での調査を含めて、土壌をサンプリングし、分析を行ないつつあり、標高や森林撹乱後の再生過程に関して貴重なデータがえられた。このようなプロット調査はブータンでは初めてで、第1次、第2次で行なったサーベイ調査法による植生調査と併用して、多くの情報が得られた。フェノロジー調査と樹形計測、葉の特性についての計測では多くの種を加えることができ、現在そのデータを解析中である。標高傾度に関しては、湿潤地域でみると森林群落のバイオマスに関する属性はほとんど標高によって変化しないが、種多様性に関しては標高によって大きく減少した。このような特性は熱帯と温帯の移行地域としてのブータンに特徴的であり、大変興味深い現象を確認できた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ohsawa, M: "Global change impacts on vegetation in humid Asian mountains"Proceedings on UNU int'l symposium on conservation of mountain ecosystems. (in press). (2002)
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[Publications] Ohsawa, M, Nitta, I: "Diversification of tree traits and forest structure along latitudinal and altitudinal environmental gradients in humid Asian mountains"Global Environmental Research. 6(in press). (2002)
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[Publications] Bhuju, DR, Ohsawa, M: "Patch implications in the maintenance of species richness in an isolated forest site"Biological Conservation. 98. 117-125 (2001)
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[Publications] Nitta, I, Ohsawa, M: "Geographical transition of sylleptic/proleptic branching in three Cinnamomum species with different bud types"Annals of Botany. 87. 35-45 (2001)
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[Publications] 大沢雅彦: "土壌と植生-土壌-植生系の進化地理-"ペドロジスト. 44・2. 124-127 (2000)
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[Publications] Nitta, I, Ohsawa, M: "Phenological and bud morphological traits of evergreen broad-leaved trees under the strong seasonal climate at northern limit in East Asia"Proceedings of International Symposium on the Qinghai-Tibetan Plateau. Chinese Academy. 357-364 (2000)
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[Publications] 大沢雅彦(藍修・分担執筆): "生態学から見た身近な植物群落の保全"講談社. 244 (2001)