1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11691187
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Section | 一般 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 徹 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70182821)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 助手 (70243087)
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
|
Keywords | D-アミノ酸 / ラセマーゼ / 浸透圧調整 |
Research Abstract |
D-アラニン、D-グルタミン酸などのD-アミノ酸は、細胞壁ペプチドグリカンの構成成分として、細菌の生育に必須であり、ラセマーゼやトランスアミナーゼなどの微生物酵素により生合成される。一方、真核生物におけるD-アミノ酸の生理的意義は、抗生物質や生理活性ペプチドの構成成分としての役割を除けばこれまでほとんど知られていなかったが、最近、D-セリンが哺乳動物脳内のNMDAレセプターのアゴニストとして作用するなど、動物におけるD-アミノ酸の機能が注目され始めている。本研究では、海産性のエビの一種であるブラックタイガーにアラニンアラニンラセマーゼを見いだすとともに、この活性が溶媒中の塩濃度の上昇に応じて8倍程度まで増加することを明らかにした。ラセマーゼの活性化によって濃度が上昇したD-アラニンは、L-アラニンと比べて代謝されにくく、この結果osmoliteとして外界の塩濃度上昇に対する浸透圧調製剤として機能する可能性が考えられる。このアラニンラセマーゼを部分精製し、酵素学的特性を調べた結果、本酵素はこれまで細菌に見いだされたアラニンラセマーゼとは異なる構造を持つことが予想された。本研究ではまた、他の生物においてもD-アミノ酸がこのような環境応答反応に関与するかどうかを明らかにするため、共同研究者であるスペイン、コンプルテンセ大学のAlvaro M.Del pozo博士とともにイソギンチャクのラセマーゼについて検討した。さらに汽水域に生息する微生物を採集するため、オーストラリアの中北部の河川・湖沼においてスクリーニングを行い、その微生物相を調査した。
|
Research Products
(1 results)