1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11691190
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Section | 一般 |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菊沢 喜八郎 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50271599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 元洋 京都大学, 森林総合研究所, 研究官
伊藤 雅道 京都大学, 森林総合研究所, 主任研究官
北山 兼広 京都大学, 森林総合研究所, 主任研究官
湯本 貴和 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (70192804)
岩本 宏二郎 京都大学, 森林総合研究所, 研究官
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Keywords | ボルネオ島 / 開葉フェノロジー / エルニーニョ / 乾燥 / 開花フェノロジー / 結実フェノロジー / 葉の寿命 / 鳥散布 |
Research Abstract |
ボルネオ島キナバル山において森林植物の示す季節的挙動についての研究を行っている。本年度は開葉の季節性と乾燥、食葉性昆虫の年次的活動、および開花結実に示される季節的変化について見るべき成果を得た。湿潤熱帯においては気温には顕著な季節変化はなく、また降水量も著しく低くなる季節はなく、気温と降水量に関して明確な季節性は認められない。森林における新しい葉の開葉もほぼどの季節にも見られている。しかし数年に1度のエルニーニョに起因する乾燥が生じた結果、森林において新しく開葉する個体数が著しく減少するという傾向が認められた。その後、降水量の回復にともない新葉の開葉も回復したがその速度は標高によって異なっていた。これはアンモニア塩の放出速度と対応していることが認められた。落下糞量から推定した食葉性昆虫のレベルは低山地で高く、高山地では低いという傾向があった。これは食葉性昆虫のレベルがほぼ森林の生産力に対応した量であることを示すものである。しかもこの量は大きくはなく葉現存量の数パーセントであると思われる。また糞量が通常年よりも著しく高くなるという現象は27機会中唯1度認められた。しかもこの時期においても糞量そのものは温帯の大発生時に比較して大きくはなかった。開花の季節性を標高別に比較すると、高標高では年中開花が認められるのに対し、低標高では開花時期が集中した。結実時期はさらに集中する傾向があり、これは鳥により種子散布される樹種で著しく、散布者である鳥、特に渡り鳥や、標高間を移動する鳥の寄与が大きいことをうかがわせた。
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[Publications] Kikuzawa K.& Ackerly D.: "Significance of leaf longevity in plants"Plant Species Biology. 14. 39-46 (1999)
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[Publications] Kitayama K.,Lakim M.& Wahab M.Z.: "Climate profile of Mount Kinabalu during late 1995 - early 1998 with special reference to the 1998 drought"Sabah Parks Nature Journal. 2. 85-100 (1999)
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[Publications] Kudo G.& Kitayama K.: "Drought effects on the summit vegetation on Mount Kinabalu by an El Nino event in 1998"Sabah Parks Nature Journal. 2. 101-110 (1999)
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[Publications] Nais J.& Wilcock C.C.: "The propagation of Rafflesia and its host plant: Prospects for ex-situ conservation"Sabah Parks Nature Journal. 2. 111-120 (1999)