1999 Fiscal Year Annual Research Report
気象変動が東南アジア熱帯雨林の群集動態に与える影響
Project/Area Number |
11691194
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
|
Section | 一般 |
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
山倉 拓夫 大阪市立大学, 理学部, 教授 (10089956)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正利 千葉中央博物館, 学芸員 (20250144)
神崎 護 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (70183291)
伊東 明 大阪市立大学, 理学部, 講師 (40274344)
|
Keywords | 熱帯雨林 / 気象変動 / 群集動態 / エルニーニョ / ラニーニャ / 大面積調査区 / マレーシア / タイ |
Research Abstract |
平成8〜9年に起こったエルニーニョに伴う異常乾燥とその直後に起こったラニーニャに伴う豪雨と地滑りによる熱帯雨林樹木の死亡状況を調べる目的で、マレーシア,サラワク州のランビル国立公園で調査を行った。面積52haの永久調査区に出現する胸高直径1cm以上の全ての樹木(約34万本)について、踏査による生存調査を行った。また、胸高直径10cm以下の個体については、幹先端部の枯損状況と萌芽による再生状況をチェックした。さらに、地滑りの位置およびサイズを測定した。データ解析は未完だが、低標高の粘土質土壌で林冠木の死亡率が高い傾向が認められた。本調査区ではエルニーニョ発生直前の1997年に全個体の計測を行っているため、今回の調査による死亡は、主に乾燥と地滑りによるものと考えることができる。また、タイ・インタノン山の熱帯山地林では、同様の調査を行うために必要な面積15haの永久調査区の設定を継続した。本年度は、これまでに毎木調査が未完であった7.5haについて、胸高直径1cm以上の全樹木の同定、直径計測を行った。現在も調査は継続中であるが、来年度4月には完成する予定である。また、稚樹の動態に関する調査として、主要な林冠構成種を含むブナ科とクスノキ科を対象にえらび、落下種子にマーキングして、その後の死亡過程を追跡調査している。これらの調査にはベルトトランセクト法を用い、親木からの距離および環境条件と稚樹の死亡率の関係が解析できるようになっている。
|