1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11691198
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 一般 |
Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
神田 啓史 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 教授 (70099935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖津 進 千葉大学, 園芸学部, 教授 (70169209)
増沢 武宏 静岡大学, 理学部, 教授 (40111801)
小島 覚 東京女子大学, 文理学部, 教授 (80115138)
和田 直也 富山大学, 理学部, 助手 (40272893)
中坪 孝之 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (10198137)
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Keywords | 地表植物 / モレーン / 氷河末端域 / 蘇苔類 / 地衣類 / 藻類 / 土壌 / 植生タイプ |
Research Abstract |
平成11年度は7月〜8月、主にスバールバル諸島、スピッツベルゲン島ニーオルスン地域で氷河生態系の調査・研究を行った他、北海道大雪山、立山での温暖化実験を実施した。 (1)氷河後退域のモレーン上の地表植物分布パターンの変化 氷河末端域から種子植物が優占する古い植生に至るまで、3本のライントランセクト調査を行った。とくに土壌藻類、地衣類、蘚苔類の地表植物と土壌水分、粒度などの土壌の性質との関連について調査した氷河から遠ざかるにつれて、藻類、蘚類、次に種子植物が出現するが、これまでの数本のライントランセクトのデータを合わせて、さらに詳細な解析を加えた。氷河末後退域の地衣類の挙動がこれまで不明であったが、本研究で氷河末端域で菌類と藻類が地衣類を形成する過程、ライケノゼーションが認められた。 (2)成熟した土壌環境における植生の類型化 ニーオルスン地域は氷河後退の影響を強く受けているために、成熟した湿地、土壌環境は少ないと考えられるが、それと対照的な氷河後退の影響の少ない成熟した植生タイプの類型化を、主に水分含量と栄養塩との関係について調査した。これまでに7つの植物群落型が識別され、基本的に土壌水分、植生遷移の段階(栄養)に応じて分化していることが明らかになった。 (3)氷河後退域における地表植物の定着過程 蘚苔類、藻類を中心とした地表植物の繁殖体の氷河後退域における役割について調査した。また、両極分布(Bipolar distribution pattern)を持つ蘚苔類の分子生物学的な解析のために試・資料を得た。氷河末端域の裸地における蘚類の分布パターンは大陸性南極のそれに酷似している。極限環境における生存戦略の観点から解析を試みた。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 工藤岳,鈴木静男: "風衝地矮生低木種の開花フェノロッジーと結実成功"第22回極域生物シンポジウム(平成11年12月3日開催、国立極地研究所). (1999)
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[Publications] 東條元昭,星野保,Maria L,Herreo and Anne Marte Tronsmo: "スバールバル諸島のグリーンハウスにおけるPythium ultimum var. ultimumによる人参の苗立枯れ病の発生"第22回極域生物シンポジウム(平成11年12月3日開催、国立極地研究所). (1999)
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[Publications] 星野保,東條元昭,神田啓史: "北極圏におけるコケ病原菌が植生に与える影響"第22回極域生物シンポジウム(平成11年12月3日開催、国立極地研究所). (1999)
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[Publications] 内田雅巳,別宮有紀子,中坪孝之,上野健,神田啓史,小泉博: "北極ニーオルスン氷河後退域における蘚類の光合成特性と環境条件"日本生態学会発表(平成12年3月23日〜25日、広島大学). (2000)
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[Publications] 西谷里美,増沢武弘,美里直美,神田啓史: "雪解け傾度に沿ったムカゴトラノオの生長と繁殖特性"日本生態学会発表(平成12年3月23日〜25日、広島大学). (2000)
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[Publications] Shimono, Y. & Kudo, G.: "Comparisons of germination pattern and seeding survival of Potentilla matsumurae (Rosaceae) between alpine fellfield and snowbed habitats"第2回北極環境研究国際シンポジウム(平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Kasagi, T. & Kudo, G.: "Variations in reproductive characteristics of two sympatric alpine shrubs, Phyllodoce caerulea and Phyllodoce aleutica along a snowmelt gradient"第2回北極環境研究国際シンポジウム(平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Hoshino, H. & 3 others: "Ecological role of fungal infections of moss carpet in Svalbard"第2回北極環境研究国際シンポジウム(平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Hoshino, H. & 3 others: "Ecological role of fungal infections of moss carpet in Svalbard"第2回北極環境研究国際シンポジウム(平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Minami, Y, & 3 others: "Occurrence of plants in northern Kuriles, a highly oceanic sector of the subarctic zone. I. Notes on distribution of bryophytes"第2回北極環境研究国際シンポジウム(平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Okitsu, S. & 2 others: "Occurrences of plants in northern Kuriles, a highly oceanic sector of the subarctic zone. II. Distribution of dwarf shrubs and herbaceous plants on Mt. Ebeko, Paramushir Island"第2回北極環境研究国際シンポジウム(平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Koizumi, H. & 5 others: "Soil respiration in relation to primary succession in Ny-Alesund, Svalbard"第2回北極環境研究国際シンポジウム(平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Nakatsubo, T. & 4 others: "Ecosystem Carbon Cycle on a Glacier Foreland in Ny-Alesund, Svalbard"第2回北極環境研究国際シンポジウム(平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Uchida, M. & 5 others: "Primary production of mosses in Ny-Alesund, Svalbard"第2回北極環境研究国際シンポジウム(平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Nakano, T. & 7 others: "Photosynthetic and water relational characteristics in two-co-occurring Polygonum species at a scoria desert in an alpine timber line of Mt. Fuji"第2回北極環境研究国際シンポジウム(平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)