2001 Fiscal Year Annual Research Report
内蒙古の遊牧民における糖尿病と高脂血症―食生活との関連において
Project/Area Number |
11691203
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Research Institution | Yamanashi Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 章夫 山梨医科大学, 医学部, 教授 (40020747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多和田 真人 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (40109187)
岡山 明 岩手医科大学, 医学部, 教授 (60169159)
上島 弘嗣 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (70144483)
王 培玉 山梨医科大学, 医学部, 助手 (10283201)
金子 誉 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (10233876)
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Keywords | 内モンゴル / 遊牧民 / 食生活 / 栄養調査 / 糖尿病 / 高脂血症 / 高血圧 |
Research Abstract |
まず、平成11年の遊牧民の検診データをさらに解析した。モンゴル遊牧民の血圧水準は非常に高く、収縮期血圧が男性で141±23(日本133±18)、女性で136±27(日本126±19)と高く、さらに年齢階級別に示すと加齢に伴う収縮期血圧の上昇が日本に比べ男女とも大きいことが判明した。拡張期血圧も同様の傾向を示した。これらの遊牧民の血圧値は、脳卒中の多かった1965-1970年前後の秋田県住民の水準とほぼ同様の値を示すという結果となった。また、高血圧者(収縮期140以上or拡張期90以上)の頻度も、現在の日本(1998年国民栄養調査)と性・年齢階級別に比較しても約2-10倍程度高いことが判明した。血圧を上昇させる要因の一つとして、塩分摂取量が多いことがあげられる。尿中ナトリウム排泄量から推定される遊牧民の塩分摂取量は男性で約17g/日、女性は約15g/日と非常に高いものであり、かつての秋田と同等の水準であることがわかる。また、遊牧民における糖尿病の調査結果は、304名中に、5名が糖尿病型(空腹血糖値126mg/dl以上or負荷2時間後の血糖値は200mg/dl以上)、7名が境界型(空腹血糖値110以上126mgldl未満もしくはor負荷2時間後の血糖値140以上200mg/dl未満)。年齢調節した遊牧民糖尿病の割合(2.1%)は、同じ自治区の都会住民のそれ(3.8%)に比べて低かった。 次は、平成12年の同じ自治区のモンゴル族農民の検診データを解析した。モンゴル族農民の血圧水準は収縮期血圧が男性で125±15、女性で127±20;拡張期血圧が男性で80±10、女性で81±13、男女とも遊牧民の血圧水準より有意に低かった。農民の塩分摂取量は男女とも13g/日で、遊牧民のそれに比べて低い水準であった。また、農民における糖尿病の調査結果は、340名中に、8名が糖尿病型、18名が境界型であった。年齢調節した農民の糖尿病の割合(2.2%)は遊牧民と比べて差がなく、境界型の割合(4.7%)は遊牧民のそれ(2.1%)より高かった。 平成13年8月に、佐藤章夫、上島弘嗣、王培玉が中国・内モンゴルに行き、現地の共同研究者と会い、検診データの総合まとめを行った。現在、栄養調査のデータをまとめている。その結果が出る次第に、さらに遊牧民および農民の食生活と高血圧と糖尿病の関連について分析する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Wang P-Y, Amamoto K, Wu H-P, Li C-P, Wu G-W, Wang F-Q, UeshimaH, Sato A.: "A survey on diabetes mellitus in the nomads of Inner Mongolia, China"Japanese Journal of Cardiovascular Disease Prevention. 36. 101 (2001)
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[Publications] Su X-L, Li C-P, Wu H-P, Wu G-W, Wang P-Y, Amamoto K, Ueshima H, Sato A.: "A field study on hypertension in the nomads of Inner Mongolia, China"Japanese Journal of Cardiovascular Disease Prevention. 36. 90 (2001)
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[Publications] 王 培玉, 神田秀幸, 天本健司, 金子 誉, 上島弘嗣, 佐藤章夫: "中国内モンゴル遊牧民および農民における糖尿病の疫学調査"Journal of Epidemiology. 12・1. 113 (2002)
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[Publications] 神田秀幸, 玉 培玉, 天本健司, 金子 誉, 上島弘嗣, 佐藤章夫: "中国内モンゴル自治区における遊牧民・農民の循環器疾患危険因子の相違"Journal of Epidemiology. 12・1. 192 (2002)