2000 Fiscal Year Annual Research Report
スリランカにおけるフィラリア症撲滅に向けた新しいアプローチ
Project/Area Number |
11691224
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
木村 英作 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70153187)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤巻 康教 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (10209083)
磯貝 芳徳 日本福祉大学, 情報社会科学部, 教授 (60079697)
伊藤 誠 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (90137117)
|
Keywords | バンクロフト糸状虫 / 地理情報システム / ELISA / 循環抗原 / 尿 / スリランカ |
Research Abstract |
1、治療実験: ジエチルカルバマジン(DEC)単独、アルベンダゾール(ALB)単独、ALBとイベルメクチンの併用、およびDECとALBの併用による4種類の治療実験を継続している。フィラリア仔虫(mf)数と抗原量を4ケ月ごとにフォローし、3年間継続する予定である。二剤併用は相乗効果あるとされるが、治療後20カ月時点ではDEC単独と比し差は見られない。 2、尿を用いる免疫診断法の開発とその応用:尿の濃縮なしに尿中のIgG4抗体を測定するELISA法が完成した。この尿ELISAの感度は95.6%、特異性は99.0%である。流行地住民473人を対象に、抗原を検出するICTtestと尿ELISAを比較した。尿ELISAの陽性率はICTtestの2.5倍高かった。10才以下の子供の抗体陽性率は72.1%で、成人と大差が無かった。尿ELISAのメリットは、乳幼児の検査が可能なことである。生後間もない時期の抗体保有率(母親からの移行抗体も含めて)の動態は、フィラリア感染の実態を把握する上で極めて重要な情報を与えるものと期待される。 3、フィラリア症分布図の作製:マータラ地区(人口約90万人)において、村のリーダー(約2500人)を対象にアンケート調査を行った。調査項目は象皮病患者や陰嚢水腫患者の存在とその数、生活・環境情報、その他である。従来、スリランカのフィラリア症は海岸部に集中していると信じられできたが、この調査によって全く異なる事実が明かとなった。すなわち、内陸部の多くの村で象皮病や陰嚢水腫が多数存在する。これは過去数十年間にわたって流行が拡大していたことを示唆する。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] M.Itoh: "Sensitive and specific ELISA for the diagnosis of Wuchereria bancrofti infection using urine samples"American Journal of Tropical Medicine and llygiene. (in press).
-
[Publications] W.Khunkitti: "In vitro antifilarial activity of extracts of the medicinal plant Cardiospermum halicacabum against Brugia pahangi"Journal of Helminthology. 74. 241-246 (2000)
-
[Publications] S.Njenga: "Bancroftian filariasis in K wale district, Kenya"East African Medical Journal. 77. 245-249 (200)
-
[Publications] 木村英作: "寄生虫学テキスト(線虫類)"文光堂. 55 (2000)
-
[Publications] 木村英作: "寄生虫学テキスト(蠕虫検査法、免疫診断法、遺伝子診断法)"文光堂. 17 (2000)