1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11694004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井狩 彌介 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (40142012)
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Keywords | ヴェーダ祭式 / ヴェーダ文献写本 / ヴァードゥーラ・アンヴァーキアー / ヴァードゥーラ学派 / アグニアーデーア祭式 |
Research Abstract |
1)研究代表者が南インドで蒐集したヴァードゥーラ学派の現存新写本資料の概要検討の結果、現時点で再構成しうる同学派の文献類目の全容が明かとなった。構想する本学派文献の総合研究において、新発見資料にもとづく研究の基礎作業が現時点でほぼ完了している。すなわち、重要基本文献(シュラウタスートラ、グリヒアスートラ、ブラーフマナ)の諸写本内容のコンピュータ・ファイルとしての入力(CDROMデータ入力、電子テクスト)は本年度にほぼ完了し、仮テクストが作成された。その一部は、各国の第一線研究者にインターネットを通じて配付され、既に大きな反響が得られている。 2)また、学界未知の基本諸文献のうち、本研究では特にブラーフマナ文献(=ヴァードゥーラ・アンヴァーキヤーナ)に焦点をあてて共同研究を進めているが、本年度(第一年度)の研究成果としては、その全五章について現存諸写本の読みの照合を終え、批判テクスト作成の前段階としての仮テクストの作成を終えている。また、第一章アグニアーデーヤ(祭火設置祭)の神話と祭式解釈部分に関しては、この仮テクストに基づいて共同研究者との検討を進めている。英語訳と注釈作成の共同作業は順調に進行し、第二年度終了時の公刊に向けて議論を重ねている。 3)上記共同研究の中間段階で知られた本文献の諸特徴のうち特筆されるべきは、本文献が、いわゆるブラーフマナ文献群のほぼ最終段階に位置付けられるものとして、後期ヴェーダ宗教思想の重要諸概念の展開にとって重要な位置付けが与えられることである。また、本文献は他文献にみられない興味深い文化史的、思想史的新事実をしばしば提示することが判明し、きわめて重要な資料価値を有することが再確認されている。
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Research Products
(1 results)