1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11694011
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
馬場 典明 別府大学, 文学部, 教授 (70038420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 晴樹 別府大学, 文学部, 教授 (40105565)
井上 富江 別府大学, 文学部, 教授 (20078835)
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Keywords | 異文化交流 / 異文化受容 / 異文化統合 / ローマ化 / ラテン化 / 地中海世界 |
Research Abstract |
本研究は「フランス南部のローマ化とラテン化」というテーマのもとで、地中海地域のなかの一つを対象としてとりあげ、その地における異文化交流・受容・統合の実態を社会史・経済史・考古学・言語史および文学史の観点から解明しようというものであり、別府大学とモンペリエ大学との共同研究という形でおこなわれた。 フランス南部のローマ化に関しては、経済史的観点から地中海西部地域の農産物(ワイン・オリーブ油等)の交易の実態をその運搬容器であるアムフォーラ遺物を手がかりに解明し、経済史におけるローマ化の問題をとりあげた。またローマ化の社会史側面であると思われる皇帝礼拝の導入の問題を、その重要な狙い手であるアウグスターレースを中心にみていき、南フランス(ガリア・ナルボネンシス)の属州におけるその機能を碑文史料を手がかりに究明した。 フランス南部のラテン化に関しては、文学史的な観点から、中世南仏文学の代表といわれる口承文学トゥルバドゥールをとりあげ、この地におけるラテン化の過程を解明した。またモンペリエ大学から中世フランス語とりわけオック語の権威であるジャン=マリー・プティ教授を招き、言語史的観点からラテン化について、研究会を開催した。 こられのことから、明らかになったのは、ローマ化の過程は一方通行的なものではなく、双方向性をもっているということ、南フランスを含む地中海西部地域の自生的な文化がローマ化においては重要な役割を果たしていることが明らかとなった。またラテン化に関してもこのことは当てはまり、中世文化においてオック語という独自の高度な言語が生み出されていくことが解明された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 馬場典明: "3.4世紀のバエティカにおける果樹栽培ヴィラの構造的変化"史学論叢(別府大学史学研究会). 30. 1-17 (2000)
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[Publications] 馬場典明: "≪ドレッセルI型≫アムフォラの消滅とイタリア果樹栽培"別府大学大学院紀要. 2. 1-23 (2000)
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[Publications] 井上富江: "L'amour courtois chez soseki"別府大学大学院紀要. 2. 24-31 (2000)
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[Publications] 山本晴樹: "元老院属州ナルボネンシスの皇帝礼拝"西洋史学論集(九州西洋史学会). 37. 104-109 (1999)
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[Publications] 山本晴樹: "パントミームスとアウグスターレース"別府大学大学院紀要. 2. 32-36 (2000)
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[Publications] 山本晴樹(共著): "地中海世界史-古代地中海世界の統一と変容-"青木書店. 352 (2000)