2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11694032
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
石橋 可奈美 香川大学, 法学部, 助教授 (70253250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高杉 直 帝塚山大学, 法政策学部, 助教授 (60243747)
山田 健吾 香川大学, 法学部, 助教授 (10314907)
古谷 修一 香川大学, 法学部, 教授 (50209194)
南 諭子 津田塾大学, 学芸学部, 講師 (00305864)
児矢野 マリ 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (90212753)
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Keywords | 国際環境法 / 遵守 / 環境と貿易 / WTO / 紛争処理 / 生物多様性 / 気候変動 / 有害廃棄物 |
Research Abstract |
本共同研究3年目である今年度は、環境と貿易の問題に取り組んだ。多数国間環境条約の実効的実施を考える上で、まず環境保護の問題がぶつかる大きな障壁、すなわち自由貿易体制との抵触の問題をどのように解決するかを考える必要があった。この共同研究はいくつかのカテゴリーに分かれてなされた。まずより包括的な視点から、グローバリゼーションとの関連での研究を行った。次に、実際に貿易上の措置を含む環境条約、すなわち、ワシントン条約、生物多様性条約、バーゼル条約などに焦点を当てた。他方で、環境条約が貿易上の措置を採用することの意義、国内法の域外適用という手段による環境保護の問題も研究した。他方で、自由貿易の規範的枠組みを概観した後、とくに近年顕著である環境紛争処理をこの文脈において検討した。環境保護の問題に関わる主要な紛争機関として、WTO、EU、世界銀行Inspection Panel、NAFTA-CECなどの紛争処理機能に関して詳細に検討した。また、紛争が顕在化するのを防ぐための方法としてどのようなものが考えられるかについても考察を行った。以上の点を踏まえて、多数国間環境条約の実効的実施を円滑に行うためには、環境保護と自由貿易の抵触が生じることが予測される場合、いずれの利益を優先するかについて予め規定する、生じてしまった紛争に関しては紛争解決手続を整え、柔軟な対応を考えることが必要となるといった指摘を含む、重要な研究成果が得られた。
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[Publications] 石橋可奈美: "環境保護のための事前の通報・協議義務-ラヌー湖事件-"国際法判例百選、別冊ジュリスト. 156. 152-153 (2001)
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[Publications] 高杉 直: "「開発と環境に対する私法的対応」国際法学会編"日本と国際法の100年 第6巻・開発と環境. 6. 79-108 (2001)
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[Publications] 水上千之, 西井正弘, 臼杵知史編: "国際環境法"有信堂. 263 (2001)