2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11694066
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小田 竜樹 金沢大学, 理学部, 講師 (30272941)
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Keywords | 磁性 / 第一原理分子動力学 / ベクトル型スピン構造 / ノソコリニアー磁気構造 / 磁気励起 / 遷移金属クラスター / 磁気流動相 / 磁気相関関数 |
Research Abstract |
本研究の主な目的は、第一原理計算手法をもちいて、磁気励起に関する研究とノンコリニアー磁気構造における分子動力学を行うことであった。昨年度までに開発を行ってきた原子磁気モーメトを固定する計算アルゴリズムを用いて、強磁性2原子分子の磁気励起エネルギーを第一原理的に計算した。遷移金属分子磁性の励起エネルギーを第一原理的手法に基づいて議論した研究は少なく、鉄系の計算結果は、計算手法の解説とともに論文にまとめられた。当初の予定では行われるはずであった鉄液体や鉄アモルファスなどの構造不規則系の磁気構造の研究は、計算コードの並列化を行った後でも計算資源の不足(計算機の性能不足)から、計算が行われていないが、磁性分子から構成されている磁性流動相である液体酸素(単位胞中に32分子)に関する分子動力学計算を行い、磁気流動相にたいして世界で初めて磁気相関関数を(第一原理的に)計算した。このノンコリニアー磁気構造を表現できる計算方法は、分子の磁気モーメントの方向が異なっている分子間の相互作用においても現実的に表現することが可能である。計算結果と中性子回折実験から得らている磁気構造に関する結果は、定性的に一致しており今後、計算と実験の両面からの解析が促されると考えられる。液体酸素の分子動力学の結果の解析をさらに進め、液体酸素の構造ならびに動的性質に関し明らかにする必要がある。
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