1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11694081
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森井 俊行 神戸大学, 発達科学部, 教授 (20031370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山西 輝也 福井工業大学, 工学部, 講師 (50298387)
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Keywords | polarized parton distribution / light sea-quark asymmetry / semi-inclusive reaction / proton spin problem / parton fragmentation / parton model and QCD |
Research Abstract |
1 1988年にCERNのEMCグループによって発表された偏極ミューオン・偏極陽子反応における陽子の偏極構造関数g^p_1(X)の測定は、その結果を中性子及びハイぺ口ンのβ崩壊のデータと組み合わせることによって、「陽子中のクォークは陽子のスピンを僅かしか担っていない」という驚くべき結果を導き、いわゆる陽子のスピンパズルと呼ばれる深刻な問題を提起した。我々は、ここ数年間この問題に取り組んでいるが、ここでは陽子中の偏極したlight flavor sea-quarkがどのように振る舞うかを研究した。最近、実験データが精密に、また豊富になる一方でQCDのnext-to-leading orderの計算が進み、核子中の偏極パートンの振る舞いについての知識は豊かになってきたが、偏極sea-quark及びgluonについては、まだよく分かっていない。ここでは、最近のSMCおよびHERMESグループのsemi-inclusive反応のデータを使い、核子中の偏極light flavor sea-quarkの分布を初めて現象論的に導き出した。今のところ実験データの精度が悪く、また統計も少ないためにはっきりと断定することは困難であるが、我々の解析の結果から実験は偏極分布についても、light flavor対称性は破れており、Δd^-(X)-Δu^-(X)が負になることを示唆するものであった。これは、NMCとE866グループによる実験から導かれた、無偏極のd^-(X)-u^-(X)は正になるという結果と較べると興味深いものである。更に、我々のこの結果は、無偏極の場合のlight flavor対称性の破れを説明するmeson cloud modelの予言とは矛盾しているが、chiral quark soliton模型やinstanton effectによる予言とは一致しており、今後のより詳しい分析が望まれる。 2 上の研究と関連して、核子中の各偏極パートンの振る舞いを更に詳しく調べるための準備をすると共に、特に核子中の偏極gluonの振る舞いを調べるために偏極深非弾性衝突でのback-to-back Λ、Λ^-生成反応でのスピン相関を調べる計画で、現在分担者の山西が約3週間(2/26-3/18)の予定でDr.Dong Yu-bing(IHEP,北京)を訪問中である。
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Research Products
(1 results)