1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11694094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
小出 武比古 姫路工業大学, 理学部, 教授 (60018695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 文稔 姫路工業大学, 理学部, 助手 (00212069)
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Keywords | 小胞体品質管理機構 / 分子シャペロン / プロテインC / チログロブリン / 新生タンパク質 / 変異タンパク質 / 分泌異常 / タンパク分解 |
Research Abstract |
分泌タンパク質や細胞内膜タンパク質は、ペプチド鎖の合成後、小胞体内腔において、種々の翻訳後修飾を受けながら、ペプチド鎖の折り畳みが行われる。さらに、その過程において新生タンパク質の品質管理として、分子シャペロンによる異常分子の認識・識別と分解経路への誘導およびプロテアソームによる分解が行われる。 本研究計画は、血栓症の原因となったプロテインC、アンチトロンビン、ヒスチジンリッチ糖タンパク質の変異体と、慢性甲状腺ガンを誘発する甲状腺ホルモン前駆体であるチログロブリンの変異体をモデルタンパクとして、1.構造異常のタンパク質がどのような分子シャペロンで認識・識別され、2.どのような機構で分解経路へと導かれ、3.どのような分解を受けるかについて明らかにしようとするものであり、本年度は以下の結果を得た。 1.Bip,PDI,ERp72等の小胞体分子シャペロンを通常の3倍高発現するCHO細胞を用いて、ワルファリン下に合成される異常プロテインCをモデルタンパク質として、その分泌と細胞内分解への影響を調べた結果、これらの分子シャペロンの高発現細胞においては、予測に反して、ビタミンK下に合成される正常プロテインCまでもが、分泌異常となり、細胞内分解を受けることが明らかになった。また、ワルファリン下の異常プロテインCは、ERp72高発現細胞では、分泌されず、且つ細胞内分解が促進するのに対して、BiP,PDI高発現細胞では、細胞内分解が遅延した。このように、標的タンパク質の分泌と細胞内分解に対する影響が、分子シャペロンによって異なることが明らかになった。 2.上記の結果は、共同研究者のアーバンらが異常チログロブリンをモデルタンパク質として解析した結果と異なっており、個々の分子シャペロンの高発現の影響は、標的タンパク質によっても異なるということが明らかになった。
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