Research Abstract |
窒化ケイ素等のセラミック球は,セラミック玉軸受への使用が期待されている.もし,セラミック玉軸受けの製造コストが安くなり,工業界に普及することとなれば,工作機械の精度や,断熱エンジンやジエットエンジン等の性能が著しく向上することが期待できる.しかし,現在は,製造コストが非常に高く,非常に特殊な用途にしか使用されていない.そのため,セラミック球の新しい研磨法の開発が,世界各国において,セラミック玉軸受け実用化のための急務の課題となっている.一方,研究代表者らは,磁性流体と浮子と呼ばれる補助工具を用い,浮子の磁気浮揚現象を利用することで,窒化ケイ素球において,従来法と比較して,約40倍〜100倍の研磨率と従来法と同等の真球度と表面あらさを得る磁性流体を用いたセラミック球の研磨法を開発した.この研究代表者らの発明したセラミックス球の磁性流体研磨法を,世界的な生産加工における研究者との共同研究を通じて,量産性及び高信頼性に優れたものとするための多くの重要な知見を得ることで,セラミック球の高精度・高能率研磨システムを開発することを目的とする.また,更に,本研磨法を異なる材質の球や,微小な球の研磨にも適応可能とするための開発指針を世界的な生産加工における研究者との共同研究を通じて明らかにする. 本年は,上記の目的のために.研究分担者の梅原が,オクラホマ州立大学に滞在し,既存の装置による研磨実験の遂行を通して,研磨システムの設計指針の討論を密に行った.得られた成果に基づき研磨システムの改良が行われ,研磨実験が行われた.その結果,種々のセラミックス球の研磨のための最適な砥粒の選択指針が明らかにされた.また,産業界のニーズを鑑み,本結果をSI単結晶球の研磨に応用した.その結果,加工損傷を少なく研磨するための設計指針がえられた.
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