1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11694161
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
有賀 克彦 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (50193082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 純一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (90153056)
佐々木 善浩 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (90314541)
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Keywords | 生体膜 / 分子進化 / 脂質 / 生命の起源 / 単分子膜 / 二分子膜 / ポリプレニルリン酸 / 酸解離定数 |
Research Abstract |
生命誕生時には無生物過程によって生体膜成分が生成した。我々は、化石や古細菌に見られる脂質を考慮しながら、テルペノイド仮想進化"系統樹"を提唱している。その中で脂質の起源として想定したポリプレニルリン酸は粘土鉱物表面上で無生物に生成し、水に分散させると自己組織化してベシクル構造を形成することがすでに見出されている。我々は生体膜発生の一つ可能なメカニズムとして、これらの脂質が生成してからある形で安定に集積し、それからベシクルへ転移する過程であると考えた。本研究では、そのような環境として気-水海面の単分子膜を仮定し、その特性を表面圧-面積曲線により評価した。硫酸及び水酸化ナトリウムで水相のpHを変化させたところ、pHの増加に伴い表面圧-面積曲線は底面積側に移動した。20mN・m^<-1>における分子占有面積データのカーブフィッティングから、pK_<a1> 6.8,pK_<a2> 9.3という値が得られた。この単分子膜状態での値は、フランスの共同研究グループによって求められた水中に分散したベシクルのpK_<a1>2.9,pK_<a2>7.8よりも高いpH側にずれていた。膜の安定形成領域をベシクルのものと比較すると、双方が安定に存在できる"相安定領域"が存在することが明らかになった。つまり、pH2.5〜5.0の範囲では単分子膜と二分子膜ベシクルが共に安定であり、単分子膜として脂質が集積した後に何らかの刺激によって水中へと移行して安定なベシクルが形成されることが可能であると示された。太古の海はpHが低かったことが示唆されていることもこの生体膜発生メカニズムを支持する。単分子膜からペクシルへの転移を誘起するものとして下水相のイオンとの相互作用を検討した。その結果、Ca^<2+>については過剰量のイオンが膜の崩壊圧を下げ、単分子相から3次元相への転移を誘起する効果があることがわかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kiyofumi Katagiri: "Preparation of Crganic-Inorganic Hybrid Vesicle "Cerasome" Derived from Artificial Lipid with Alkoxysilyl Head"Chem.Lett.. 661-662 (1999)
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[Publications] Katsuhiko Ariga: "Formation of Mesoscopic Patterns with Molecular-Level Flathess by simple Casting of Chlorofrom Solutionsof Tripeptide-Containing Amphiphiles"Chem.Lett.. 787-788 (1999)
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[Publications] Katsuhiko Ariga: "Remarkable Microenvironmental Difference between Minolayer and Bilayer Membrane Interfaces Dissociation Behavior of a Lysine Residue Placed on the Membrane"Chem.Lett.. 82-83 (2000)