2000 Fiscal Year Annual Research Report
黄色ブドウ球菌ロイコシジンおよびガンマヘモリジンの3次元構造の解明
Project/Area Number |
11694191
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神尾 好是 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00109175)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 淳 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30221188)
冨田 敏夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (00126129)
|
Keywords | 黄色ブドウ球菌 / ロイコシジン / ガンマヘモリジン / LukF / Hlg2 / 3次元構造 / 膜孔形成毒素 |
Research Abstract |
LukFの3次元構造の解明:LukF単独並びに[LukF・フォスフォコリン]複合体結晶の1.8Å解像力でのX線解析により,(1)水可溶性LukFモノマーは、キャップ、リム及びプレステムの3領域から構成されていること、(2)LukFの血球膜上の結合リガンドは、フォスファチジルコリンのフォスフォコリン部位であること、(3)フォスフォコリンはLukFのW177とR198残基が形成するポケット構造部分に結合することを明らかにした。更に、LukFの生化学的解析、並びにX線結晶解析により、水可溶性分子として分泌されるLukFが赤血球膜上で水不溶性分子に変化し、Hlg2との複合体を形成する機構を解明した。即ち、グリシン及び疎水性アミノ酸を多く含む18アミノ酸残基から構成されている領域がプレステムの状態でLukF表面に折り畳まれて存在し、膜孔形成時に毒素表面から触手のように突き出てステムになり、これが血球膜に貫入することを明らかにした。これらの発見は、黄色ブドウ球菌の細胞崩壊毒素の細胞膜上におけるアッセンブリー機構を明らかにしたばかりでなく、広く水可溶性膜孔形成毒素タンパク分子が標的細胞膜上で水不溶性分子へ構造変化を起こす機構について新しい概念を打ち立てた画期的なものである。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 金子淳,冨田敏夫,神尾好是: "黄色ブドウ球菌の膜孔形成毒素の構造と細胞崩壊機構"蛋白質核酸酵素(臨時増刊). 46(4). 492-505 (2001)
-
[Publications] 金子淳: "黄色ブドウ球菌の二成分細胞崩壊毒素のファージ変換及び標的細胞との作用に関する研究"日本農芸化学会誌. 75巻(印刷中). (2001)
-
[Publications] S.Narita,J.Kaneko,J.Chiba,J.Etienne,Y.Piemont,and Y.Kamio: "Phage conversion of Panton-Valentine leukocidin (PVL) in Staphylococcus aureus : molecular analysis of a PVL-converting phage, φSLT"Gene. (In press). (2001)
-
[Publications] K.Yokota and Y.Kamio: "Tyrosine72 residue at the bottom of rim domain in LukF crucial for the sequential binding of the staphylococcal γ-hemolysin to human erythrocytes"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 64(12). 2744-2747 (2000)
-
[Publications] D.Zou,J.Kaneko,S.Narita,and Y.Kamio: "Prophage φPV83-pro, carrying Panton-Valentine leukocidin genes, on the Staphylococcus aureus P83 chromosome : comparative analysis of the genome structures of φPV83-pro, φPVL,φ11, and other phages"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 64(12). 2631-2643 (2000)