1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11694276
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
栗栖 浩二郎 大阪大学, 歯学部, 教授 (50028346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 純 大阪大学, 歯学部, 助手 (20243248)
THESLEFF Irma ヘルシンキ大学, 生物工学研究所, 教授
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Keywords | Tabbyマウス / EDAモデル動物 / EGF / EGFレセプター / 細胞マーカー / FGF |
Research Abstract |
Tabbyマウスは、ヒトの無汗型外胚形成症(EDA)のモデルマウスであり、1952年にこの系統が分離されて以来、長らくその実体は不明であった。1996年にEDAの原因遺伝子(EDA)、1997年にTabbyの原因遺伝子(Ta)が相次いでクローニングされ、やっとEDA/Ta分子の機能を解明できる状況になった。 1.関連分子の探索:歯胚発生に関与すると思われる因子は現在多数あるが、EGF-R,b-catein,E-cadherinなどの遺伝子発現やタンパク質発現の相違の有無について、正常マウスとTabbyマウスを比較検討した。in situ hybridization では、R1プローブ(ヘルシンキ大)とDigプローブ(阪大)を用い、免疫組織染色においては、ビオチン・ストレプトアビジン法とβガラクトシダーゼによる酵素抗体法を用いた。その結果、帽状期以降で変化のあるものも見られたが、Tabby特有の形態を成す帽状期以前の段階で、はっきりとした差のあるものは、現時点では見つかっていない(一部はDevelop.Biol.216:521-534(1999)にて発表)。そこで、田畑がヘルシンキ大学を訪ね、ディスカッションを行い、さらに候補を増やして探索を継続している。 2.機能阻害実験:Ta遺伝子の翻訳を特異的に阻害できるアンチセンス・オリゴデオキシヌクレオチド(AS-ODN)を設計し、改良型のTrowell法による歯胚の器官培養の培地に与えてin vitroの実験系を組み立てた。用いる歯胚はBalb/cマウスの胎齢14日から採取した下顎第1臼歯とし、AS-ODNは細胞内での安定のためにS化したものを用いた。数回にわたり阻害実験を行ったが、現在のところ、安定した結果が得られていない。 3.Tabbyマウスのレスキュー:Tabbyマウスの胎生14日胚を器官培養し、培地にさまざまな増殖因子をあたえてレスキュー実験を行った。Tabbyマウスの汗腺においては、EGF投与によりレスキューできることが知られており、我々もこれを第1候補と考えていたが、予想に反しFGFでレスキューできることが判明した(Develop.Biol.216:521-534(1999))。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 田畑 ほか: "歯の形態形成遺伝子とその異常"現代医療. 32. in press (2000)
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[Publications] 田畑 ほか: "歯の発生に関する遺伝子とその役割"日本咀嚼学会誌. 9. in press (2000)
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[Publications] Pispa et al.: "Cusp patterning defecl in Tabby mouse teeth and its partial rescue by FGF"Developmental Biology. 216. 521-534 (1999)
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[Publications] Mikkola et al.: "Ectodysplasin,a protein required for epithelial morphogenesis,is a novel TNF homologue and promotes cell-matrix adhesion"Mech Dev. 88. 133-146 (1999)
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[Publications] Harada et al.: "Localization of putative stem cells in dental epithelium and their association with Notch and FGF signaling"J Cell Biol.. 147. 105-120 (1999)
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[Publications] Thesleff et al.: "Organ culture in the analysis of tissue interactions"Methods Mol Biol.. 97. 23-31 (1999)
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[Publications] 田畑,栗栖: "歯の発生におけるアポトーシス"The BONE. 47. 81-88 (1999)
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[Publications] 田畑,栗栖: "アンチセンス法と器官培養法による葉胚発生の研究へのアプローチ"エナメル質比較発生学懇話会記録. 6. 19-33 (1999)
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[Publications] 岩本 ほか: "歯科インプラント (インプラント体周囲の酵素式の再生)"先端医療技術研究所. 447 (2000)