1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11694286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑野 信彦 九州大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80037431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内海 健 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80253798)
和田 守正 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20220965)
小野 眞弓 九州大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80128347)
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Keywords | ABCトランスポーター / 薬剤排出ポンプ / 抗癌剤感受性 / Dubin-Johnson症候群 / DNAメチル化 / 遺伝子発現調節 / MRP2 / cMOAT / 遺伝性疾患 |
Research Abstract |
肝、腎などで異物の排出を行う蛋白質はその機能異常により多くの疾病をもたらすのみならず、抗がん性薬剤を排出する事により、がんの薬剤耐性の獲得に深く関与している。しかしながら、異物排出蛋白の分子的実体については、ほとんど明らかにされていない。従って、各異物排出蛋白の機能異常によりもたらされる疾病の把握および、いずれの異物排出蛋白がいかなる抗がん剤耐性に関与するかを明らかにすることは緊急で重要な問題である。 本年度はBorst博士、Roninson博士およびCole博士を招聘し、各1週間の緊密な討論を重ねた上で次の成果をあげた。 (1)新しい異物排出蛋白として、すでに我々により単離されているcMOAT遺伝子に近縁のMRP3をさらに同定、単離した。ブタ腎臓細胞株への強制発現実験により、cMOATはシスプラチン、ビンカアルカロイド アンスラサイクリン、カンプトテシンに対する耐性に、MRP3はエピポドフィロトキシン、ビンカアルカロイドに対する耐性に関与することを明らかにした。 (2)異物排出蛋白のがん特異的発現亢進機構として、急性骨髄白血病ではMDR1のプロモーター部位のメチル化が、骨肉腫では転写因子YB-1の核内移行が制御に関与していることを明らかにした。このことにより、従来の発現亢進してしまったMDR1蛋白質の機能障害による抗がん剤耐性から一歩進んでYB-1の核移行やMDR1遺伝子のDNAメチル化を阻止することによる、新しい治療法開発への展開が期待される。他の排出蛋白の発現調節機構を解析するために、MRP3およびMRP3のプロモーターを単離、同定した。 (3)Dubin-Johnson症候群の患者でヒトMRP2/cMOAT遺伝子に変異を同定し、この遺伝性疾患の原因遺伝子であることを明らかにすることにより、cMOATが肝臓においてビリルビンなどの有機アニオンの排泄を行っていることを示した。また、肝がん患者の非がん部について、免疫染色およびRT-PCRにより解析した結果から、cMOAT蛋白質やMRP2/cMOATmRNAの発現量には劇的な個人差が存在することが分かってきた。このことは、MRP2/cMOAT遺伝子が薬物への感受性の個人差や体内動態に関与しうる因子として、今後さらに解明されるべきであることを示している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Toh,S.,et al: "Genotic structure of the canalicular multispecitic organic anion transporter (cMOAT) gene and mutations in the ATP binding a cassette region in Dubin-Johnson syndrome."Am. J. Human Genet.. 64. 739-746 (1999)
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[Publications] Kusaba,H.,et al: "Association of 5' CpG demethylation and altered chromatin structure in the promoter region with transcriptional activation of multidrug resistance 1 gene in human cancer cells."Europ. J. Biochem.. 262. 924-932 (1999)
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[Publications] Tanaka,T.,et al: "Cellular balance of glutathione levels through the expression of γ-glutamylcysteine synthetase and glutathione thiol transferase gene in human hepatic cells resistant to a glutathione poison."Biochim. Biophys.Acta. 1427. 367-377 (1999)
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[Publications] Kawabe, T., et al: "Enhanced transport of anticancer agents and leukotriene C4 by the human canalicular multispecific organic anion transporter (cMOAT/MRP2)."FEBD Lett.. 456. 327-331 (1999)
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[Publications] Tanaka,T.,et al: "The human multispecific resistance protein2 gene : Functional characterization of 5'-flanking region and expression in hepatic cells."Hepatology. 30. 1507-1512 (1999)
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[Publications] Harada,T.,et al: "Alu-associated interstitial deletions and chromosomal rearrangement in two human mutidrug resistant cell line."Int. J. Cacer. (in press). (2000)