2000 Fiscal Year Annual Research Report
Rasファルネシルトランスフェラーゼ阻害物質の分子設計
Project/Area Number |
11694297
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大塚 雅巳 熊本大学, 薬学部, 教授 (40126008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 良成 熊本大学, 薬学部, 教務員 (20194409)
山崎 哲郎 熊本大学, 薬学部, 助手 (60182474)
大川原 正 熊本大学, 薬学部, 助教授 (60040325)
井本 正哉 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (60213253)
梅澤 一夫 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (70114402)
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Keywords | 人工配位子 / ファルネシルトランスフェラーゼ / 癌遺伝子 / Ras蛋白質 |
Research Abstract |
癌遺伝子Rasは多くの哺乳動物の癌細胞から見いだされており、この遺伝子がコードしているRas蛋白質は抗癌剤の標的として重要なものである。Ras蛋白質が機能を発現するためには、ファルネシルトランスフェラーゼ(FTase)によりRas蛋白質末端のシステイン残基がファルネシル化を受けることが必要とされている。 本研究ではFTaseが亜鉛酵素であることに着目し、有機合成化学、FTaseの専門家、癌遺伝子産物と細胞内シグナル伝達領域の専門家の共同研究により、亜鉛のキレート剤を設計合成し、それによりFTaseの新規阻害物質を得ることを目的とした。 研究代表者らはジメチルアミノピリジンと2つのキレート性側鎖からなる対称的構造をもった人工配位子を種々合成した。なかでもジメチルアミノピリジンとシステアミンからなる化合物HPH-5はFTaseのY361L変異型に対して強力な阻害効果を示した。阻害剤HPH-5がFTaseのY361L変異型の亜鉛部位と結合を形成して阻害していることを示唆する実験結果を得た。HPH-5と亜鉛との結合を解明するために、2-メチルスルファニルエチルアミンとジメチルアミノピリジンからなる新規人工配位子を合成した。その銅錯体のX線結晶解析を行い、2つの二級アミノ基本がアピカル位を占めたトリゴナルバイピラミダル構造と1つのチオエーテルがアピカル位を占めたスクエアピラミダル構造の中間の構造をとっていることが明らかになった。 この結果はRasを阻害する抗癌剤の分子設計への新知見となるものと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masami Otsuka: "Synthesis, structure of Cu (II) complexes of S-containing pentadentate ligands"J.Organomet.Chem.. 611. 577-585 (2000)
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[Publications] Rakesh Kumar Sharma: "Aurine tricarboxylic acid, a potential metal-chelating inhibitor of NFkB-DNA binding"Bioorg.Med.Chem.. 8. 1819-1823 (2000)