2000 Fiscal Year Annual Research Report
エキシマレーザーを用いた緑内障房水流出障害の為の移植デバイスの開発
Project/Area Number |
11694316
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Research Institution | TOKAI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
村原 正隆 東海大学, 工学部, 教授 (40166301)
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Keywords | エキシマレーザー / 緑内障 / 多孔質フッ素樹脂 / 房水圧力 / 光化学的表面改質 / 毛細管現象 / 親水性基 / 移植素子 |
Research Abstract |
緑内障は、眼圧上昇による房水流出障害によって、引き起こされる。通常、人の眼圧は8〜18mmHgの間に保たれている。この値が21mmHg以上になると緑内障と診断される。緑内障の手術法として繊維柱帯の切除やレーザーによる彩切開等があるが、それらの効果は術者によってまちまちである。若し人の眼が一定の圧力以上に上昇すると、通常の眼圧値になるまで自発的に房水が流出し、その後は、その値を保ち続ける機能を持つ移植デバイスが必要となってくる。 そこで、我々はポーラスPTFEに着目して、研究を続けてきた。ポーラスPTFEは、多孔質構造のため優れた気体透過性を有している。しかし、ポーラスPTFEは撥水性を有するため、水圧を高くしない限り水を通すことは出来ない。昨年度は内孔径が10ミクロンのポーラスPTFE内孔に親水基を置換し、無圧水でも流出させる事に成功した。しかし、一般に内孔径が大きくなると材質が脆くなる。この欠点を回避するには、低い水圧で水を通し、かつ、内孔径が小さい材料を作り出す事である。そこで本年度(平成12年度)は内孔径3ミクロンの材料内部を親水性に改質し、水圧を自発的に制御可能な材料を開発した。さらに、生理食塩水を使った透過流量測定の結果、未処理のものだと300mmHgの加圧を加えても透過しなかったポーラスPTFEが、レーザーショット数15mJ/cm^2、2000shotのときに20mmHgの加圧で生理食塩水が透過出来るようになった。また、OH基の置換密度の割合が透過量に依存しているのもわかった。さらに房水が正常圧力の上限20mmHg以上になると流出が始まる為の処理方法が見出された。この実験結果は、この材料が眼圧制御弁として使える可能性を示唆するものである。 この材料は、現在マイアミ大学医学部眼研究所に於いて、兎に移植し、生体適合性試験の続行中である。
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[Publications] M.Murahara,Y.Sato,J.M.Parel,I.Nose,W.Lee: "Hydrophilic Treatment of Porous PTFE for Intractable Glaucoma Implant Device"Bios 2001 International Biomedical Optics Symposium by SPIE. 4254. 32 (2001)
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[Publications] J.M.Parel,M.Murahara,V.Fernandoz,I.Nose,W.Lee,E.Fujiwara,H.Tahi,T.Kono,R.Rosa,F.Fantes,G.Flalcinell: "Novel glaucoma implant"Bios 2001 International Biomedical Optics Symposium by SPIE. 4254. 30 (2001)
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[Publications] 佐藤雄二,大室仁,徳永裕人,小川泰洋,J.M.Parel,村原正隆: "ポーラスPTFEを用いた緑内障治療の為の移植素子開発"第61回応用物理学会学術講演会講演予稿集. NO.3. 1106 (2000)
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[Publications] 佐藤雄二,大室仁,徳永裕人,小川泰洋,原田夏樹,J.M.Parel,村原正隆: "緑内障治療の為の移植デバイスの開発"第61回応用物理学会学術講演会 講演予稿集. 230 (2001)
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[Publications] 佐藤雄二,大室仁,徳永裕人,小川泰洋,原田夏樹,J.M.Parel,村原正隆: "ポーラスPTFEを用いた緑内障治療の為の移植素子開発(2)"第48回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集. NO.3. 1272 (2001)
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[Publications] 村原正隆: "緑内障患者に福音-レーザー技術で手術デバイスに革命-"青鴎. 2001-2. 11-12 (2002)