1999 Fiscal Year Annual Research Report
経済発展に伴う伝統的作付体系の変容と植物遺伝資源の持続的利用
Project/Area Number |
11695070
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 信男 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30012040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 隆 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (20134520)
岩本 純明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40117479)
藤田 夏樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30190044)
根本 圭介 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (40211461)
高野 哲夫 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (30183057)
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Keywords | 作付体系 / 商品経済 / 作付指数 / インドネシア |
Research Abstract |
ボゴール近郊スカジャディ村において農村経済調査を実施した。スカジャディ村は標高600メートルを境に上下二つの集落に分かれるが、上方の集落は水利の便が悪く、畑作が中心であった。上の集落の畑ではパラウイジャと呼ばれるトウモロコシ、キャサッバ、サツマイモ、ダイズ、ラッカセイの他、陸稲や野菜が作付られ、作付指数(年間の圃場利用回数)は2.7であった。水田ではイネ→イネ、イネ→パラウイジャの順で栽培が行われ、作付指数は2.6であった。一方、下の集落では水田面積が多く、水田ではイネ→イネ→パラウイジャあるいはイネ→パラウイジャ→パラウイジャの順で栽培が行われ、作付指数は2.7であった。畑では主としてキャッサバが栽培され、作付指数は1.8で、上の集落の畑に比べると低かった。水田、畑への投入資材、労働投下量を調べてみると、水田の方が投入量が多く、労働時間も長かったが、単位面積当りの収益性も高かった。このため、水田を中心とした経営を行っている下の集落では畑作に割く時間が不足するため、労力のかからないキャッサバを栽培しており、下の集落では畑作からの現金収入を高めるために野菜などの換金作物を畑に作付いていると考えられた。また、所得拡大のために羊導入プロジェクトが政府主導で行われているが、羊を飼育している農家は賃労働に従事する割合が高いのに対して、羊を飼育していない農家では商業に従事するものが多く、農業外活動の種類が農業に影響を及ぼしていることが明らかになった。以上のように、ボゴール近郊の農村では商品経済の影響を大きく受けて、作付パターンを決定していると思われた。
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