2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11695073
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
花里 孝幸 信州大学, 理学部・附属臨湖実験所, 教授 (60142105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野里 担 信州大学, 理学部, 教授 (60273067)
林 秀剛 信州大学, 理学部, 教授 (60087129)
沖野 外輝夫 信州大学, 理学部, 教授 (50020681)
戸田 任重 信州大学, 理学部, 助教授 (60291382)
高田 啓介 信州大学, 理学部, 助教授 (90197096)
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Keywords | 日本海隣接国 / 淡水生物 / 生物多様性 |
Research Abstract |
日本海をとりまく沿岸,河口汽水種の成立を日本海の地史的な発展の歴史,(未だ定説として確立しているわけではないが)日本海の孤立化・淡水化・汽水化,海水化の歴史の中で,種がどのように適応・進化を遂げてきたかをとらえることは興味深い課題である。このような問題を考えるにあたってイソコツブムシ属(Gnorimosphaeroma)は,海水から汽水,淡水まで広く分布する種を含み、最適な属であると思われる。本邦のイソコツブムシ属は,これまで15種が報告されており、一方韓国ではこれまで、7種が報告されている。このうち共通種はG.ovatum、G.hoestlandti、G.rayi、G.naktongense、G.chinense5種である。このような背景のもとに本研究では、韓国東海岸に位置する、花津浦、松波湖、永朗湖、青草湖(採集出来なかった)、梅湖、香湖、鏡浦湖の汽水湖においてイソコツブムシ属の採集を試みた。これらの湖沼の電気伝導度は1.76-47.9mS/cmまで変化した。イソコツブムシ属は花津浦(6.64、4.13、47.9-電気伝導度を示す)、松波湖(4.69、4.76)、永朗湖(3.0)、梅湖(4.29)、鏡浦湖(2.02、5.56)の汽水域で採集できた。いずれも日本などと同様にヨシなどの水生植物の葉や根、茎、礫の下に付着していた。これらの汽水湖では淡水の部分を見つけることが出来なかったため、淡水のみに分布する種は採集出来なかった。今後同定をすすめ、韓国東海岸と日本海側とのイソコツブムシ属の分布の比較を明らかにする。また、共通種の一つであるG.naktongense(チョウセンコツブムシ)は甲殻類の中でも雌から雄に性転換することが日本産種について知られていることから、韓国産種についても、この点を明らかにすることが必要となっている。
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