2001 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアにおける家畜の生産性向上に関する基礎的研究-小型反芻家畜の栄養(無機物栄養)改善について-
Project/Area Number |
11695076
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Research Institution | SHIMANE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤原 勉 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (00023474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増永 二之 島根大学, 生物資源科学部, 講師 (10325045)
一戸 俊義 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (20252900)
若月 利之 島根大学, 生物資源科学部, 教授 (50127156)
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Keywords | ヤギ / 土壌中無機物含量 / 飼料消化率 / 物質出納試験 / マメ科飼料木 / 自然牧野草 / 日増体量 / 血中無機物濃度 |
Research Abstract |
今年度は、前年度に得られた結果を基に、昨年度にアンダラス大学・畜産学部で行った現地のヤギを用いた舎内での飼養試験・物質出納試験の試料分析とそれらの結果の纏めを行った。年度当初に相手側研究者のLili Warly博士が、日本国際教育協会の帰国外国人留学生短期留学制度により3ヶ月間島根大学に滞在する機会を得たことにより、試料の搬入・分析と最終的な纏めを効率良く実施できた。本年度に得られた結果を要約すると以下のようである。 1)放牧草・ヤギの血液のサンプルを採取した地域の放牧地並びにその周辺地域(スマトラ島padang市近郊の7地点)で採収した土壌の無機物含量測定した結果から、次の点が明らかになった。A)PadangとUNAND Limau Manis地域の土壌はC・N(炭素・窒素)の含量が他の地域に比べて高く,土壌有機物が豊富である事を意味しており、また、後者のC/N比が高かったことは比較的新鮮な有機物が豊富であるあることを示している。B)PadangとPariaman地域の土壌は強酸性、Sawah Lunto, Sawah Lunto BelingbingとUNAND Limau Manis地域の土壌は弱酸性、そして、Tanjung AlaiとTanah Datar地域の土壌は中性に近いことがわかった。C)Sawah Lunto地域のの土壌は今回の調査土壌の中でも特に栄養的に低質なものであり、年代的に古い土壌であると言える。D)植物の成長と言う観点から見ると、カリ(K)は降雨によって供給されると考えられるので,今回の研究対象とした地域の土壌はリン(P)と窒素が不充分である考えられる。この点から見ると,PariamanとUNAND Limau Manis地域の土壌は比較的良好で、Sawah Lunto BelingbingとTanjung Alai地域がそれに次ぐものであろう。これらの結果は一面的なものであるけれども、それぞれの地域の植物生産量、そこに生育する動物生産の状況並びにその他の環境条件などのデータと突き合わせて総合的な判定をするための基礎的な根拠になり得るものである。 2)現地のヤギの飼養状況に準じた舎内でのメス成ヤギ20頭を用いた試験(消化・物質出納)の結果から、次の点が明らかになった。A)マメ科飼料木(Leucaena・Gliricidia)茎葉の添加によって、飼料(自然牧野草)摂取量は明らかに高くなる傾向が認められた。乾物・有機物の消化率は、マメ科飼料木茎葉の添加によって有意に高くなり、結果的に可消化養分総量(TDN)摂取量も有意に増加した。B)繊維成分の消化率は、NDFではマメ科飼料木茎葉の添加によって有意に高くなったが、ADF・セルロースの消化率に明らかな変化は見られなかった。しかし、ヘミセルロースの消化率は、統計的に有意ではないがマメ科試料木茎葉の添加によって高くなる傾向にあった。C)ヤギ(10ヶ月令)の日増体量は、試験期間が3週間であって若干短期間であったということから、試料木茎葉添加による差が有意ではなかった。D)血中無機物濃度は、特に微量無機物において、マメ科試料木茎葉の添加給与によって、明らかに増加する傾向が認められた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Fujihara, T., T.Ichinohe, S.A.Abdulrazak: "The importance of low quality roughage to enhance ruminant production in tropical area"Prosiding (ISBN 979-96132-0-5) Seminar Nasional, Pengembangan Ternak Sapi Dan Kerubau(Indonesia). 18-19 (2000)