1999 Fiscal Year Annual Research Report
中国西蔵省における植物の高地適応機構の生物、化学的解析
Project/Area Number |
11695083
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
堀内 昭 立教大学, 理学部, 教授 (60062650)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 智明 立教大学, 理学部, 助教授 (40158887)
檜枝 光太郎 立教大学, 理学部, 教授 (20062656)
高田 健夫 立教大学, 理学部, 教授 (80062595)
花井 亮 立教大学, 理学部, 助教授 (30287916)
須原 準平 立教大学, 理学部, 助教授 (70062635)
|
Keywords | チベット高地 / 青〓 / 超微量金属元素 / 希土類元素 / 紫外線生物効果線量 |
Research Abstract |
次の二つのテーマにつき調査研究を実施した。 1.高地植物中の超微量元素の動態解析による植物の高地適応機構の化学的解析 資料としては、チベット高地で主食としている青〓を、緯度がほぼ同じ(平均31°)で、東経101° 5'から86° 5'の間で採取した。採取値の標高は、最低が3230m、最高が4500mである。測定元素は、Ti,V,Zn,Ga,Y,W,Au,Pbおよび希土類14元素を含む22元素とした。 (1)種子、茎、髭の各部位ごとに測定した元素の含有量は、希土類元素は種子の部分に少なく、茎、髭に多かった。栄養分を蓄えておく種子の部分より、他の部分に多く蓄えられている元素が存在したという注目すべき結果が得られた。植物中の希土類元素の動態解析が今後の大きな課題となった。 (2)種子について日本産と比較すると、Pb以外のすべての元素においてチベット産に多く含まれていた。特に希土類元素は、日本産では、La、Ce、Prの軽希土以外は検出できなかったが、チベット産では、La(0.3)、Ce(1.05)、Pr(0.21)、Nd(0.18)、Sm(0.08)、Eu(0.09)、Gd(LOD)、Dy(0.05)、Ho(LOD)、Er(0.11)、Tm(0.08)、Yb(0.13)、Lu(0.08μg/g)が検出された。これは、東チベットの土壌に希土類元素が多く含まれていることが予想され、土壌との関連での調査の必要性があったが、土壌の採取の許可が得られなかった。環境汚染が著しく低いと考えられる地域だけに、今後に期待したい。 (3)標高及び経度の違いによる明確な差異は今回の資料については認められなかった。 (4)植物中の超微量元素分析の公定法はなく、各自が開発していく必要があり、今回、分析法の確立に多大の労力を必要とした。 2.高地における太陽紫外線の生態系に対する影響評価の基礎としての紫外線生物効果量の測定 UVモニタMS-211-I(英弘精機)製によって、UVB量の南中時前後10分間にわたる積算値と瞬時値を測定した。来年度以降の胞子線量計を用いて本格的測定の基礎データを得た。
|