2000 Fiscal Year Annual Research Report
中国西蔵省における植物の高地適応機構の生物、化学的解析
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11695083
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
堀内 昭 立教大学, 理学部, 教授 (60062650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須原 準平 立教大学, 理学部, 助教授 (70062635)
黒田 智明 立教大学, 理学部, 教授 (40158887)
檜枝 光太郎 立教大学, 理学部, 教授 (20062656)
加藤 中英 立教大学, 理学部, 講師 (00142547)
花井 亮 立教大学, 理学部, 助教授 (30287916)
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Keywords | 雲南省地方の民間薬 / キク科植物成分 / Ligularia属植物 / エレモフィラン化合物 / 雲南省南部の苔類 / ヒメジャゴケの分布 / ジャゴケの分布 / ヒメジャゴケの進化 |
Research Abstract |
2000年10月-11月、黒田、花井、須原および武(昆明植物研究所)の4名により、中国雲南省において野外植物調査を行った。雲南省北部に生息するキク科植物成分研究のための予備調査として、麗江県雪松村およびその周辺にて8種類の植物を採集した。今回の採集対象植物としては、地元の民間薬として用いられているSenecio scandensを含むSenesio属、Cocalia属、およびLigularia属植物を選んだ。採集した7種類の植物は、それぞれS.scandens、S.laetus、C.latipes、C.cycloluo、L.alatipes、L.vallerea、およびL.atroviolaceaであると同定した。残りの1種類については地上部が枯れた後で、根のみの採集となったため、同定には至らなかったが、L.lankongensisであると推定した。採集した植物試料は昆明植物研究所にて2日間乾燥したのち、粉砕し、酢酸エチルにて3回冷浸抽出を行った。このうち、L.lankongensis(推定)は根に多量のオイルが含まれているという興味深い事実が判明した。このオイルの成分は、各種スペクトルの測定から、ほぼ純粋なエレモフィラン化合物から成ると推定することができた。 また、雲南省南部に生息する苔類特にヒメジャゴケとジャゴケの分布状況を調査した。ヒメジャゴケはアジアの寒冷化,乾燥化に適応してジャゴケから分化したという説があり,DNAレベルでの検証は大変興味深い。ヒメジャゴケについては調査地の昆明,石林,河口,Pingbian,金平の高度1000〜2000mの地域で旺盛な生息が認められた。さらに通常の繁殖様式である無性芽形成中のヒメジャゴケも頻繁に観察することができた。採集した15点の材料からDNAを抽出し,rbcL遺伝子の塩基配列を決定しつつある。これらの結果から、雲南省のヒメジャゴケのタイプと日本のそれとを比較することによってヒメジャゴケの進化に関して重要な知見が得られるものと期待される。
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