1999 Fiscal Year Annual Research Report
未公刊資料に拠るフランス,シュルレアリスム運動初期に於るパウル・クレー受容の実態
Project/Area Number |
11710023
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
宮下 誠 別府大学, 文学部・美学美術史学科, 助教授 (40299681)
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Keywords | パウル・クレー / アンドレ・ブルトン / シュルレアリスム / トリスタン・ツァラ / マックス・エルンスト / ダダ / 受容 / 批評 |
Research Abstract |
本年度はパウル・クレー批評に関して二つの側面からアプローチした。 一つは、1925年以前のドイツ語圏に於けるクレー批評の実体を、テオドール・ドイプラー、ヴァルデマール・ヨロス、レオポルト・ツァーン・ヴィルヘルム・ハウゼンシュタインに拠る、公刊、未公刊の資料に基づいて明らかにした。今ひとつは1925年以降のフランス、シュルレアリストたちによるクレー受容の様相を、トリスタン・ツァラ、マックス・エルンスト、ルイ・アラゴン、ポール・エリュアール、就中、アンドレ・ブルトンの残した数多くの資料から再構成した。この二つのアプローチによって、 1)、ドイツに於けるクレー批評、とりわけ1920年以前の、多分に幻想的、空想的な作品群に対するクレー批評が1925年以降のフランス、シュルレアリストたちのクレー批評に殆ど無批判的に踏襲さえたこと、 2)、アンドレ・ブルトンのシュルレアリスム絵画全般に対する「定義」にクレーの芸術理論が色濃く反映していたこと、 が明らかになった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 宮下誠: "線描のエクリチュール-ヴァヴァンニラスパイユ画廊の第一回パウル・クレー展(1)-"芸術学論叢. 13. 75-95 (1999)
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[Publications] 宮下誠: "「どの一点でまじわるとも知れない線また線の迷路のなかへ」-「第一回シュルレアルスム絵画展」とアンドレ・ブルトン,そしてパウル・クレー(1)"別府大学大学院紀要. 1. 43-52 (1999)
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[Publications] 宮下誠: "パウル・クレーとシュルレアリスム-「シュルレアリスム革命」誌第三号に見るイメイジ戦略-"デ・アルテ. 15. 16-35 (1999)
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[Publications] 宮下誠: "レオボルト・ツァーンとヴィルヘルム・ハウゼンシュタイン-パウル・クレーとシュルレアリスム前史(2)"別府大学紀要. 41. (2000)
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[Publications] 宮下誠: "操作されたエクリチュール-ヴァヴァンニラスパイユ画廊の第一回パウル・クレー展(2)-"別府大学アジア歴史文化研究所報. 18. (2000)
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[Publications] 宮下誠: "「それどころか、私が見はじめると目にみえないものまである」-第一回シュルレアリスム絵画展とアンドレ・ブルトン,そしてパラル・クレー(2)"別府大学大学院紀要. 2. (2000)