1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11710025
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Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
塩谷 純 東京国立文化財研究所, 美術部, 研究員 (90311159)
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Keywords | 菊池容斎 / 『前賢故実』 / 歴史画 / 動王画家 / 「容斎画意」 / 日本画士 |
Research Abstract |
*作品調査 日本国内にある菊池容斎の作品52点を調査した。その成果は展覧会「菊池容斎と明治の美術」(平成11年10月24日〜12月5日 於練馬区立美術館)に反映させ、図録に主要作品の解説、落款・印章一覧等を掲載した。 *作家研究 上記展覧会図録のテキストとして、「容斎断章」と題した菊池容斎のモノグラフを試みた。内容は以下の通り。 I、「菊池容斎之碑」を読む 容斎伝の基礎資料ともいうべき墓碑(「菊池容斎之碑」)の全文註釈を行う。 II、作品にみる容斎 上記の作品調査に基づき、容斎の重層的な画風を分析する。 III、容斎をめぐるネットワーク 容斎の交遊関係から、その画業と水戸学や医学との関わりを考察する。 IV、菊池容斎、その後 容斎が没後どのように評価され、位置づけられたのかを諸文献を通して追う。 *東京国立博物館所蔵資料の調査 東京国立博物館には菊池容斎に関する資料109点が一括所蔵されており、その調査を行った。容斎が所持していたと思われる書物やその著書『前賢故実』の画稿等、容斎を研究する上で重要な資料が含まれており、なかでも『前賢故実』画稿は容斎が人体モデルを使って人物画を描いていたことをあらためて実証するものとなった。 *容斎関係文献の収集 菊池容斎に関する明治期以降の文献を収集、文献目録を作成し上記展覧会図録に掲載した。またこれに基づいて、上記の通り容斎に対する没後の評価の変遷をテキストの中で祖述した。
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