1999 Fiscal Year Annual Research Report
ラットの不安行動の系統差と脳内セロトニン系との関連
Project/Area Number |
11710029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
和田 由美子 筑波大学, 心理学系, 助手 (70302362)
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Keywords | Tsukuba情動系 / セロトニン / buspirone / 不安 / 遺伝的差異 / 高架式十字迷路 / ラット |
Research Abstract |
Tsukuba高・低情動系ラットは、情動反応性の違いによって選択交配されたラットである。高情動系は様々な場面において一貫して情動反応を示しやすく、低情動系は情動反応を示しにくい。このことから、高情動系は不安の高い系統、低情動系は不安の低い系統であるといえるだろう。 これまでの研究から、不安の個体差には脳内5-HT系が関与していることが示唆されてきた。Tsukuba情動系の脳内5-HT含量と代謝回転にも大きな系統差が見られることが報告されており(増井,1990)、両系の系統差が、脳内5-HT系の差異によって生じている可能性が考えられる。 本研究では、ランウェイテストと十字迷路テストを用い、5-HT_<1A>受容体アゴニストのbuspironeが、Tsukuba情動系ラットの情動行動に及ぼす効果を検討した。薬物投与(busupirone0.05,0.1,0.5,1.0mg/kg,or saline,i.p.)は、テストの30分前に行った。その結果、いずれの系統、いずれの課題においても、buspirone投与による顕著な効果は見られなかった。生化学的分析の結果、脳のほとんどの部位において、低情動系の方が5-HTと5HIAA(5-HTの代謝物質)の含量が多いが、代謝回転は高情動系で高い傾向にあるという従来の知見が確認された。DAとNAに関しても、同様の系統差が見られた。 脳内5-HT系とTsukuba情動系の系統差の関係を明らかにするには、薬物用量や薬物の種類を変えた再検討が必要である。一方、5-HTだけでなくDAとNAの脳内含量にも大きな系統差が見られたことから、両系の情動性の違いが、5-HT系以外によって規定されている可能も考えられる。今後は、薬物の用量、投与法、課題を再検討するとともに、5-HT以外の系についてもあわせて検討していく必要があると思われる。
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Research Products
(1 results)