1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11710032
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
菱村 豊 新潟大学, 人文学部, 助手 (90293191)
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Keywords | 社会的学習 / 味覚嫌悪 / モルモット |
Research Abstract |
モルモットは味覚嫌悪を観察学習することが出来るのかどうかを検討した。二連の実験箱の一方に刺激個体となるモルモットを入れ、毒物である塩化リチウムを入れた餌を摂取させた。刺激個体が餌を摂取して中毒症状を起こすまでを、隣の実験箱から被験体に観察させた。その後、刺激個体のいない場面で、被験体が刺激個体の摂取した食物を選択的に避けるようになるかどうかを調べた。しかし刺激個体に対する適切な食餌制限が難しく、実験は上手くいかなかった。 そこで、刺激個体に摂取させるものを餌ではなくて液体に変えて実験をおこなった。摂水制限をおこなった刺激個体に赤色の瓶から塩化リチウム入りのサッカリン溶液を与え、それを観察した被験体が赤色の瓶と青色の瓶との選択場面で赤色の瓶を選択的に避けるかどうかを検討した。しかし刺激個体が塩化リチウムを入れた溶液をほとんど摂取せず、被験体も赤い瓶を選択的に避けることはなかった。 次に塩化リチウムを刺激個体に摂取させるのではなく、腹腔内注射することで同様の実験をおこなった。すなわち、刺激個体が赤色の瓶からサッカリン溶液を摂取した後に、刺激個体を実験箱から取りだし、塩化リチウムを腹腔内注射し、再び実験箱に戻した。しかしその様子を観察した被験体が、赤色の瓶を選択的に避けることはなかった。また塩化リチウムを注射された刺激個体が、その後赤色の瓶を避けることもなかった。 モルモットは視覚が比較的発達しており、赤色の瓶から溶液を摂取した後に中毒症状を経験すると、その後赤色の瓶から溶液を摂取することを避けるようになることが先行研究で明らかになっている。しかし今回の研究ではそのような結果が得られなかった。二つの研究の間で、操作上何が違っているのかを今後検討する必要がある。その上であらためて、モルモットは味覚嫌悪の観察学習をすることが出来るのかどうかを調べなおす。
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