1999 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児のコミュニケーション発達援助プログラム開発のための臨床心理学的研究
Project/Area Number |
11710068
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠矢 浩一 九州大学, 人間環境学研究科, 助教授 (50242467)
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Keywords | 心理リハビリテーション / 自閉症 / 臨床動作法 / リラクセイション |
Research Abstract |
心理リハビリテーション宿泊集中訓練会に参加した3名の自閉症児および自閉傾向を伴う知的障害児に対する臨床動作法適用場面におけるセラピストの主観的体験とクライエントの行動特徴について、セラピストによるセラピー記録および撮影したビデオ映像から分析した。その結果、同一の自閉症あるいは自閉傾向と診断されるクライエントであっても、その行動特徴には著しい違いがあり、それぞれのクライエントに対して適切なセラピストの関与方略には違いが認められることが示された。とりわけ、多動傾向を伴う自閉症児の場合、まずは、クライエントとセラピストの身体運動を同期させたり、クライエントに対し、セラピスト主導的に設定された課題に自己動作をあわせることを要求するといった、より、課題性の高い動作課題を導入する以前に、まずは、「仰臥位でゆったりと寝る」、「力を抜いてセラピストにからだをあずける」といった、リラクセイション課題が有効であることがわかった。一定程度のセルフリラクセイションか達成された後に、クライエントは、セラピストと自己の身体運動を同期させるという高次の課題に移行することができていた。一方で、対人接触に高い不安を示す自閉症児の場合、前者とは逆に、相互的な身体動作のやりとり、すなわち、「手で押し合う」、「いっしょに腕を上げる」、「合図にあわせて足を蹴る」などのような、他者とともに動くことの楽しみを実感させることができる課題が有効であることが示唆された。こういったクライエントに対しては、相互的課題からセルフリラクセイションへの移行がむしろ有効であった。行動特徴と関与方略の関係性、あるいは、これらの関与方略の適用時期と行動変容プロセスについては、今年度、引き続き検討の予定である。
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