1999 Fiscal Year Annual Research Report
早期母子相互作用における母親の調律行動と乳幼児の人格形成-就学時の性格特徴及び1年後の学校適応-
Project/Area Number |
11710072
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
青木 紀久代 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (10254129)
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Keywords | 情動調律 / 調律行動 / 過剰調律 / CAT / 自我発達 / 対象関係 |
Research Abstract |
今年度の課題は、(1)6歳時点でCATを通して語られた、幼児の自我発達と早期母子相互作用場面での母親の調律行動傾向との関連を検討すること。(2)初対面の大人との自由遊びを導入し、これまで見られた母子相互作用場面での幼児の対人関係パターンとを比較することである。予定された観察実験はすべて予定通り終了し、分析が進行中である。分析1の日本版CAT結果では、母親母親の調律行動の個人差による3群で、CATには、形式的な分析からも、内容の分析からも顕著な違いが見られた。母親の調律行動パターンと子どもの人格発達について考察すれば、コミュニオン群は万能感のある自己像と良好な自我発達をしていたと言える。これは母親の適切な調律行動パターンが,年齢相応の万能感のある自己像の形成を促し,また防衛の柔軟性と対象関係についても.同様に促進していることを示唆するものである。過剰調律群は万能感のない,ほど良く肯定な自己像を持つことが示された。また自我発達が極端に違う結果に分かれたのは,早熟な自我発達を示す者がいる一方で,一時的に不適応状態に陥るものがいるものと思われる。過少・誤調律群は否定的な自己像とやや未熟な自我発達であることがされた。これは過少・誤調律群の調律行動パターンが肯定的な自己像形成につながらず,健全な自我発達の促進にもともすればつながらないということである。以上から母親の調律行動パターンの違いによって子どもの人格発達がことなることが明らかになった。 成果は、分析2の行動分析の結果を含めて、平成12年7月に開催される世界乳幼児精神保健学会第7回世界大会で発表予定である。
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