1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11710076
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鹿毛 雅治 慶應義塾大学, 教職課程センター, 助教授 (80245620)
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Keywords | 教師 / 意欲 / 動機づけ / 目標 |
Research Abstract |
「教師」の意欲の構造とその統合的な発達について検討することを目的とした本研究の第1年次として、今年度は主に理論研究を中心に取り組んだ。すなわち、動機づけ研究の対象領域として「教師という仕事」に焦点を当て、それに対する意欲の統合的な構造について考察した。具体的には、いわゆる「目標理論」について再検討し、意欲の統合的構造を目標の階層構造(be-goalとdo-goal)として再検討すると同時に、その「質」に注目することの重要性を明らかにした。すなわち、目標構造に注目すると、目標構造の上位に位置する「どのような教師になりたいか」(be-goal)という目標が「どのように授業するか」などの下位目標(do-goal)と有機的な関連を持っていると考えられるわけだが、その際、さらに教師自身の「願い」の質を明らかにし、その発達を具体的に検討することが次年度の重要な課題として見出された。また、このような理論的研究と同時に、本年度はインフォーマルなヒアリング調査を現場教師を対象として予備的に行った。その結果、授業プロセスにおける予期せぬ子どもの反応の中に「おもしろさ」を感じ、教師の認識枠組みとズレた子どもの情報をどのように処理し、どのようにそれを授業に反映させるか、そして教師自身がそこから何を学ぶのかという点が、教師の意欲構造の質を考える上で重要なポイントであることが明らかになった。さらに、この意欲構造の質の違いこそが授業過程や教師の思考としての評価過程を規程し、教師の力量の違いに反映されるのではないかという仮設も生まれた。次年度は、以上の成果を踏まえて、理論的、実証的アプローチをさらに進める予定である。
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