1999 Fiscal Year Annual Research Report
障害者スポーツの可能性-社会学的ビデオ分析を通して-
Project/Area Number |
11710103
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
樫田 美雄 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (10282295)
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Keywords | 障害者 / スポーツ / 車イス / 障害者水泳 / ろう / 盲人卓球 / リハビリテーション / エスノメソドロジー |
Research Abstract |
1.日本身体障害者スポーツ連盟等を訪問し資料提供を受け、また、障害者スポーツの現場を参与観察した。その結果を日本社会学会大会で発表し、かつ、報告書(『障害者スポーツにおける相互行為分析』)にまとめた。 2.主な発見は以下の通り。 (1)障害者水泳には現在クラス分け方式の異なる全国大会が3種類ある。これは、リハビリテーションと、競技スポーツの両方の側面が障害者水泳にあることを反映し、かつ、競技スポーツ化に対応するにあたって、クラス分けを増やす方向と減らす方向の両方向が可能であったことをあらわしている。 (2)障害者水泳は、競技を行う際の距離の区切りを健常者の通常の水泳と同一に設定しているが、実際には障害部位が存在することによって、もちいる筋肉や心肺能力に違いが生じており、したがって、一見「同一の競技種目」であっても、健常者の通常の水泳とは違う能力を競っていることがわかる。この点を確認すれば、障害者スポーツを、固有の内容をもった自立した「スポーツ」として扱うことの説得力が増すであろう。 (3)車イスバスケットボールの秩序は、「障害者スポーツ」と「スポーツ」のハイブリッドとして編成されている。すなわち、その車イス競技らしさ(例:片手シュートが多い)は、通常のバスケットボールと同じ戦術(敵にボールを取られないようにする、車イスバスケットボールでは、椅子の幅があり、かつ、敵もジャンプできないので、片手で高くボールを掲げるだけでボールを守りきれる)の一環として、スポーツの中に組み込まれており、逆に、通常のバスケットボールと同じ振る舞い(フェイント&パス)は、車イスバスケットボールに固有の条件(遠距離シュートが困難なので、ゴール下へのパスがより重要)の下で、多用されていた。
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