1999 Fiscal Year Annual Research Report
「学校外の居場所」に通う「不登校」児の自己定義の変化と経歴分析-施設職員との具体的な相互作用に注目して
Project/Area Number |
11710107
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
工藤 宏司 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (20295736)
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Keywords | 不登校 / フリースクール |
Research Abstract |
本研究は、今年度、交付の決定した12月より、基礎文献およびデータの収集を第一として進められた。 「不登校」に関する従来の出版物は、学術研究書と不登校児本人やその両親の手による手記およびフリースクール派の人々の手による体験記がある。 「不登校」研究のパイオニアである心理学の研究および後発たる社会学のアプローチを取る研究が行なってきたこれまでの研究は、以下のように分類できる。すなわち(1)「不登校」に関する原因および解決法の追及(2)個別事例の紹介・検討(3)「不登校」イメージの変遷の記述である。 文部省が特定のフリースクールへの「通所」を、学校の出席日数としてみとめることを決定して以来、多くの「不登校」児が、「学校以外の居場所」に通所している現実を考える時、そこに通う子どもたちが、どのように成長していくかを、施設外部の人間が捉える研究や報告が必要不可欠になってきていることが、以上の文献検討を通じて明らかになったことの一つであり、本研究が目指すのは、その問題関心に基づいて、「学校外の居場所」に通う子ども自身が、そこで直面する自己定義の変化を、特に、施設職員との関係編成の中で、跡付けていく作業である。 現在、幾人かの不登校児へのインタビューを行ないつつ、参与観察の準備を進めている。また、行政側の試みとして、厚生省が進める「メンタルフレンド」制度に着目し、参与観察を行ないつつ、制度上の背景や問題点に関して、考察を進めている。 次年度は、インタビュー・参与観察を進めつつ、各不登校児の具体的な語りに着目し、その世界観を再構成する作業を試みる。
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