1999 Fiscal Year Annual Research Report
老後移住における福祉志向要因についての日英比較研究
Project/Area Number |
11710109
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Research Institution | Kochi Women's University |
Principal Investigator |
玉里 恵美子 高知女子大学, 社会福祉学部, 助教授 (40268165)
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Keywords | 老後移住 / 人口移動 / 過疎地域 |
Research Abstract |
戦後の日本において最も人口移動が激しかった昭和35年は地方から大量の中卒者が都会へ流出していった。そして、現在、その世代の人たちが定年退職期を迎え、「老後移住」という形で新たな人口移動が始まりつつある。そこで、今後の老後移住について考えるために、英国の老後移住の実態について現地調査を実施した。 英国では田舎(田園)への老後移住が一般的にみられるというが、移住者たちは「静かに暮らすこと」や「歴史に触れる」ことを目的として都会を離れるといわれている。コッツウォルズの村々で聞き取り調査をした結果、次のような生活実態が浮き彫りになった。 「平日はロンドンで生活(単身赴任)し、週末は田園作業をしながら家族と過ごすことは一種の憧れのライフスタイルであり、それは現実可能なことである。片道3時間の高速道路は無料であり、憧れのライフスタイルを維持していくためには、多少の犠牲も払う。制度としての社会福祉の充実が老後移住の要因になっているわけではなく、田園への老後移住は生き方の目指すべき方向でもある。」つまり、多数の国民の価値観としての田園への老後移住が存在していることが明らかになった。 翻って、日本(高知県池川町)の過疎地域を考えた場合、常に都市との対比によって、田舎はネガティブなイメージを持たされる。田舎への老後移住を支える国民の価値観が必要であり、過疎地域の活性化のためにはイメージ戦略も必要になるであろう。
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