1999 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における健康と社会階層の蓄積効果に関する研究
Project/Area Number |
11710110
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
中田 知生 北星学園大学, 社会福祉学部, 講師 (10265051)
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Keywords | 社会階層 / 健康 / 加齢 / 蓄積効果 / 多変量解析 |
Research Abstract |
健康社会学においては、近年、社会階層の差具による死亡率の差異から派生し、そのメカニズムの検証のために、健康のプロセスの社会階層による差異の研究が進められている。出身階層や教育年数の差異が人生の中で健康に対してどのような影響を持っているかというものである。 その中の仮説のひとつに、「長生きをするが、不健康(longer life but worsening health)」仮説というものがある。それは、高い社会階層のものは長生きをするが、そのかわり健康状態は悪化していくというものである。しかし、これまでこの仮説を検証は、年齢のコントロールなどがなされずに行われてきたため、年齢がコントロールされたデータにより、再検証する必要がある。 この仮説を再検証するために、60歳以上の高齢者による本研究におけるデータにより、健康状態が社会階層ごとに人間の生涯において加齢とともにどのようなプロセスで変化するのかを検証するために、教育年数カテゴリーごとのプロセスを11の慢性疾病で比較した。特に慢性疾病は、その発症した年齢を尋ね、このような分析に耐え得るようにした。分析は、単純なグラフを作成し、教育年数が12年未満のものと、13年以上のものとを、5歳の年齢幅を設けてどのように慢性疾病が増加していくのかを見た。すると、確かに、50歳後半までは高い階層の方が疾病の数は少ないが、それ以降は多くなっており、年齢をコントロールした場合でも、この仮説が正しいことが見いだせた。 今後は、健康に関する回顧データの信頼性のチェックと多変量解析による階層の蓄積効果の検証などを進める必要がある。
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