2000 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における健康と社会調査の蓄積効果に関する研究
Project/Area Number |
11710110
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
中田 知生 北星学園大学, 社会福祉学部, 専任講師 (10265051)
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Keywords | 社会階層 / 健康 / 縦断的研究 / 健康悪化のプロセス / 社会調査 / 多変量解析 / 蓄積効果 |
Research Abstract |
これまでの本研究における分析は、まず生涯を通じて、健康悪化のプロセスの社会階層による差異を明らかにすることであった。これまでに健康状態や死亡率には階層差があることはさまざまな研究によって明らかになっていたが、そのメカニズムが横断的な研究によってのみしか解明されていなかった。これでは、その差異が元来生物学的に先天的に存在するものか、または健康に関する社会学やその他の領域で言及されているようなライフスタイルなどによって後天的に起こるものかがためである。 そこで、いくつかの慢性的疾病をこの健康悪化の指標とし、調査対象者に対してそれらの疾病に罹った年齢を尋ね、その平均疾病数が社会階層の指標である教育年数によって差異があるかどうかを調べ、線形混合モデルによって分析を行った。しかし、階層によっての有意な差異は見られなかった。 ただし、これらの結果には、いくつかの問題点が存在することも明らかになった。たとえば、第1に、自己の慢性疾病を認識するメカニズムにも階層差が存在すること。自分の疾病を認識するには、身体の表面や心理的に現れやすい疾病であれば自己認知する。また、そのように現れにくい疾病であれば専門職による判断が必要である。しかし、前者では、個人によって(または階層によって)認知のセンシビリティが異なることが先行研究などで言及されている。また、後者に関しては、たとえば、このような疾病を認知する機会は健康診断などであるが、そのようなもの利用する機会や動機に階層差が存在する可能性がある。 また、第2に本研究において用いた母集団は、現在生存している高齢者である。しかし、これらの母集団と同時に生まれたにもかかわらず、すでに亡くなっている方々も多数存在することも明らかである。先行研究においては、これらの死亡率にも階層差が存在する。ということは、すでに亡くなっている方は低い階層が多く存在したことが考えられる。したがって、分析においては、低い階層の健康状態を過大評価している可能性もある。したがって、今後、それらの誤差を修正し、もう一度分析をし直す必要があると考えている。
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Research Products
(1 results)