1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11710112
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
池 周一郎 帝京大学, 文学部, 助教授 (20246060)
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Keywords | Decline of Mrital Fertility / 出生率低下 / 伝播プロセス / Diffusion Process / Markov Process / ロジスティックモデル / logistic model |
Research Abstract |
有配偶女子の平均完結出生児数の減少過程がロジスティック微分方程式でよく表現されるのは、有配偶な女子の完結出生児数ベクトルが、完結出生児数の選択が伝播としてモデル化されて、漸次的にMarkov Processとして減少していくものとして把握されるからである可能性を、第28回数理社会学会大会(平成11年9月)で報告した。これを「出生児数減少の伝播-マルコフ仮説」と命名したい。 並行して先行研究の検討を行い、経済学的な資本投下のロジックによる出生児数の減少過程の説明は、すでに実証的には、さまざまな欠陥や説明不能な限界を持つことがCoale等により明らかにされており、教育などの文化的要因が重要視されていることを再確認し、「出生児数減少の伝播-マルコフ仮説」の支持の一助となることを発見している。 そして上記の「出生児数減少の伝播-マルコフ仮説」の検証のため、測定された有配偶女子の平均完結出生児数の減少のデータから、確率推移行列を推定を試みた。確率推移行列のstochasticな推定は、これまでほとんど前例がなく、数学的にも困難な問題であるが、数値的な逐次的反復推定法などのプログラムを作成するなどして、現在もよりよい推定方法を検討中である。 なお、日本以外の欧米諸国の出生力減少過程もロジスティック微分方程式でよく近似できることと「出生児数減少の伝播-マルコフ仮説」に関して平成12年の6月にハワイにて開催予定の日米の合同カンファレンスにて報告する予定であり、既にエントリーして英語論文を投稿している。 また、出生児数の減少の空間的・地理的なな伝播を拡散方程式で記述できないかということも検討中である。
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