1999 Fiscal Year Annual Research Report
不登校児における昔話の読みの実際と治療方法としての昔話の有効性の検証
Project/Area Number |
11710129
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
須田 康之 北海道教育大学, 教育学部・旭川校, 助教授 (90216474)
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Keywords | 不登校 / 読み聞かせ / 昔話 / グリム童話 / 葛藤場面 / 自己成長 |
Research Abstract |
旭川市内にある不登校学級の児童15名を対象に読み聞かせを行い、子どもたちの学級での様子を記述するとともに、読み聞かせた昔話について感想を尋ねた。同時に、対象群として市内の小学校5年生1組に対して読み聞かせを行い、その感想を不登校学級の児童のそれと比較した。読み聞かせの対象となった不登校学級の児童の内訳は、6年生5名、5年生7名、4年生1名、3年生1名、2年生1名の計15名である。読み聞かせた昔話の題名とその日付を記すと次のようになる。(1)狼と七匹の子ヤギ(H11.5.14)(2)はちの女王(H11.6.11)(3)熊の皮を着た男(H11.7.9)(4)がちょう番の娘(H11.9.2)(5)金の烏(H11.9.17)(6)ルンペルシュティルツヘン(H11.10.21)(7)三枚の鳥の羽(H11.11.12)(8)つぐみひげの王様(H11.12.17)(9)ねむり姫(H12.1.28)(10)ヘンゼルとグレーテル(H12.2.18)(11)白雪姫(H12.3.10)。これらの話は、グリム童話から選んだものであり、母親と主人公の葛藤場面や主人公の自己成長の場面が描かれている。不登校学級の子どもは、当初攻撃的であったが、読み開かせの回数を重ねることで次第に私を受け入れ始め、コミュニケーションが成立するようになった。自分の気持ちを言葉で表現することを苦手としている子どもたちであるため、読み聞かせの後の感想の記述は少ない。しかし、毎回の読み聞かせを楽しみにしていたことは、読み聞かせへの出席率が高かったことから伺える。印象に残った話として、複数回答で「ヘンゼルとグレーテル」(4名)、「ねむり姫」(3名)、「熊の皮を着た男」(1名)、「はちの女王」(1名)、「金の鳥」(1名)、「がちょう番の娘」(1名)、「白雪姫」(1名)があがった。これらの話には、自己の内的な課題が反映されていると推測される。
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Research Products
(1 results)