2000 Fiscal Year Annual Research Report
家庭学校文書の史料論的検討-東京および北海道家庭学校所蔵史料の構造-
Project/Area Number |
11710145
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
二井 仁美 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (50221974)
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Keywords | 家庭学校 / 感化教育 / 留岡幸助 / 留岡清男 / 巣鴨 / 茅ヶ崎 / 北海道 / 近現代史料 |
Research Abstract |
1899年に留岡幸助(1864-1934)が東京巣鴨に設立した家庭学校は、1914年に北海道農場および北海道分校、1923年に茅ヶ崎分校(1933年閉鎖)を開設した後、1935年には巣鴨の本校を上高井戸に移転、1968年には北海道分校が本校から独立し、現在は東京家庭学校と北海道家庭学校という独立した別個の法人となっている。本研究では、両校が所蔵する留岡幸助校長時代の家庭学校文書を、両校に共通な編成原則によって目録作成を試みた結果、以下の諸点を明らかにした。 1)東京家庭学校所蔵文書は、一次史料(書簡類を除く)約800点、書簡約500通、名刺約200点、北海道家庭学校所蔵文書は、一次史料(書簡類を除く)約2000点、書簡約10000通、名刺約100点と、北海道家庭学校の方が圧倒的に多くの家庭学校文書を収蔵している。これは、幸助の四男留岡清男が戦前に家庭学校北海道分校教頭、戦後に北海道家庭学校長の職責にあったことに由来する。 2)内容的には、東京家庭学校は、家庭学校理事会関係文書や本校日誌・茅ヶ崎分校日誌など家庭学校の本校および茅ヶ崎分校関係文書、草稿類や当用日記など留岡幸助の著作物と、家庭学校本校宛に送付された書簡類を所蔵している。これに対して、北海道家庭学校は、家庭学校文書は北海道農場・北海道分校関係を中心とするものにとどまるものの、留岡清男教頭時代に残されたと考えられる庶務担当大谷松太郎宛書簡を中心とする北海道農場宛の書簡約4000通のような膨大な史料群を有する。また、留岡幸助の手帖約300冊の他、幸助の長男の妻留岡よし子が長く保管していた留岡幸助宛書簡約6000通など、留岡幸助に関わる大量の史料群も収蔵する。 これらに対する史料論的検討は、今後の留岡幸助研究・家庭学校史研究において留意すべき両校所蔵史料の特徴や、近現代史研究における基礎的史料情報を提供するものであり、公開可能な目録に纏めるべく、現在、史料中の保護すべき個人情報に対する処理作業を進めている。
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