1999 Fiscal Year Annual Research Report
北インド・ムスリム社会における諸集団の序列化と「系譜」創出の関係をめぐる研究
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11710172
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
萬宮 幸代 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (20303901)
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Keywords | インド / イスラーム / ムスリム / カースト / 系譜 |
Research Abstract |
本研究の目的は、階層社会としての北インド・ムスリム社会の社会構造のあり方を明らかにすることにある。そのため、ウッタル・プラデーシュ州西部に位置するムスリムが多数派の小都市の事例に基づいて、現地社会を構成するムスリム諸集団の対外的・対内的な関係を、様々な角度から詳細に記述し分析することが必要となる。この視点からの現地調査は、平成7〜8年度の約2年におよぶ北インド滞在中に実施済みである。その間に収集した1次資料(参与観察・聞き書き・質問票による調査結果、写真、録音テープなど)と2次資史料(地図、小冊子、統計資料、基礎文献、関連文献、学術論文など)を整理・分析することが、平成11年度の研究の主軸となった。 具体的には、まずそうした資史料を整理するために、アルバイトを雇ってデータベース化を試みた。同時に、現地語(ウルドゥー語)文献の一部を翻訳する作業にも取り組んだ。さらに、資史料を分析し、理論的枠組を構築するために、南アジア・ムスリム社会関連図書および人類学関連図書を参照した。その結果、同じ北インド・ムスリム社会の社会構造を対象とした研究でありながら、異なる結論に至る事例報告が存在することも明らかとなった。こうした差異は、北インド・ムスリム社会の歴史的変化や地域的偏差に由来するだけでなく、研究者のスタンスの取り方にも関わっている。これに関する研究成果は、『人文学報』83号に、「北インド・ムスリム社会のザート=ビラーダリー・システム:ムスリム諸集団の序列化と差異化に関する一考察」として発表した。』
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