1999 Fiscal Year Annual Research Report
シンガポールにおける多文化主義に関する研究-パーソナル・ネットワークの視点から
Project/Area Number |
11710174
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Research Institution | Bunka Women's University |
Principal Investigator |
糸林 誉史 文化女子大学, 家政学部, 講師 (60301834)
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Keywords | シンガポール / 多文化主義 / ネットワーク分析 / マレー / ナショナリズム / エスニシティ / 文化研究 / バウェアン |
Research Abstract |
1.「多文化主義の再検討」に関して、シンガポールという国民国家の枠組みにおいて文化の多様性とされるディアスポラや移民を抱えた文化状況をマレー系・カテゴリーを中心にして検討した。マイノリティの文化戦略や異議申立ての社会運動の事例として、ムスリム専門職協会(AMP)について研究した。この成果の一部は、単著の図書に「住宅開発庁の公共団地とコミュニティ」および「ナショナル・デーを支える共通感覚」としてまとめた。 2.多文化主義理論のリベラル派、企業派、批判派の3つの研究動向の理論的な再検討については、国民・民族・人種といった「種的同一性」が作り出すカテゴリー間の癒着の問題として整理し、文化研究の視点をまじえて、その問題点を指摘した。この点については、図書のなかの「マルチカルチュラリズムの現在」に述べた。 3.「パーソナル・ネットワーク法」に関して、Analytic Technologies社からUCINET ver.5.3,KrackPlot ver.3.2,Anthripac ver.4.9を購入して,北米でのBally Wellmanらの調査結果のデータを入手し、それを再処理して分析方法に習熟するとともに、個人関係の図式化、親族関係への応用など、実際的な応用面での試行を行った。さらにINSNAの機関誌「Social Networks」掲載の論文から本研究に関連したものを整理し、多文化主義研究の手法としての可能性を本年度の紀要論文にまとめる予定である。
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